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子供の頃の疑問が思いがけず解消したロシアへの旅[2011年07月27日]

英語表記とロシア語表記のサブウェイ(サンクトペテルブルグ)
キリル文字に無理やり矢印を付け加えた感に苦労の跡がうかがえます

遥か昔の話なのですが、子供の頃、私は“BCL”でした。“BCL”とは、Broad Casting Listenersのことで、直訳すると、“放送を聴く人々”となります。世界各国の放送局が海外向けに行うラジオ短波放送を聴いて楽しむ趣味のひとつです。そして、ただ、聴くだけではなく、受信報告書をその放送局に送ると“ベリフィケーション・カード”を送り返してくれるのです。そのカードは、通称“ベリカード”と呼ばれ、放送局によってはかっこいいデザインで数種類のカードを作っていましたし、定期的にデザインも変更されました。というわけで、そのカードを集めることを目的とする趣味としても“BCL”が存在していたのです。(注:今現在も根強い人気の趣味だそうです・・・)
当時、日本向けに放送していた放送局は、アメリカ、ソ連(当時)、中国、台湾、韓国、北朝鮮、ベトナム、フィリピン、イギリス、西ドイツ(当時)、オーストラリア、エクアドルなどで、もちろん日本からも海外向けに放送していました。当時の私は、何となくですが、いつか海外に旅してみたいなと思いながら世界各国の放送を聴いていました。海外に向けて自国の宣伝をすることが大きな目的の放送だったので、当時のそれぞれのお国事情が反映して、時には滑稽に思ったり、時には恐ろく思ったりしたこともありましたが“世界”を垣間見るにはよい経験だったと思います。その中でも、超巨大出力で日本に向けてガンガン放送していたのが『モスクワ放送』でした。

☆夜なのに明るいサンクトペテルブルグ

サンクトペテルブルグの街並み

今回、ロシアを訪れたのは初めての経験でした。過去、ヨーロッパへ行く際の乗り継ぎで立ち寄ったこともありません。はじめてロシアの街に足を踏み入れた時の印象は、英語の表記がほとんどないこと。そして、時間的には夜のはずなのに、まるで昼間のような明るさに驚いたことでした。日本からモスクワを経由してサンクトペテルブルグ空港に到着したのが夜9時前。空港から車で移動するときに見たサンクトペテルブルグの街は、まだ午後3時過ぎくらいに思えました。何故そんなに明るいのか。それは白夜の季節だったからです。

エルミタージュ美術館前の宮殿広場で行われていた
白夜祭イベントの予行演習に群がる多くの人々

私が訪れた6月中旬のサンクトペテルブルグは『白夜祭』の真っ只中。例年5月中旬頃から7月の中旬くらいまで行われる白夜祭は、今年で19回目を迎えたそうです。『くるみ割り人形』や『眠りの森の美女』などを世界に送り出した“芸術の国ロシア”のシンボル的存在である、マリインスキー劇場を中心に、ロシア・バレエ、ロシア・オペラやクラシック音楽など様々なイベントがサンクトペテルブルグの街で繰り広げられるのです。そのため、ホテルは常時満室に近く、寝台列車の予約も取りづらくなります。この時期にサンクトペテルブルグを訪れるなら早めの予約が必要です。
今回の私の旅は、白夜祭に関連するイベントには参加しなかったのですが、さすが芸術の国・ロシア。きりがないほど見るべきものがたくさんあるので、訪れるポイントを絞り込んでロシア芸術を堪能しました。これまで、芸術にテーマを絞り込んだ旅はしたことがなく、それもまた初めての経験でした。

サンクトペテルブルグのホテルに着いた私は、外がまだ明るいので周辺探検にでかけました。事前に、スリやひったくりが多く物騒な街であるという情報をインプットされていた私は、用心するにこしたことはないと心に留めつつも結構ふらふらと街を歩きました。明るくはあるものの夜の街を歩く人は多いのだろうかと思っていましたが、人出は結構あり、全く危険な雰囲気を感じることはありませんでした。でも、翌日、案内してくれたサンクトペテルブルグ在住のガイドさんの話しによると、暴力を振るわれことはないものの、危険なことは少なからずあるそうです。やはり、用心するに越したことはありませんので、これからサンクトペテルブルグにいらっしゃる方は十分お気をつけください。

☆人気スポットの観光は是非ガイドさんが同行してくれるツアーに参加しよう!

ペトロドヴァレェツのピュートル宮殿(サンクトペテルブルグ近郊)

翌日は、日本語ペラペラのロシア人ガイド・ガリナさんと共に、市内から30kmほど離れた、ペトロドヴァレェツ(ペテルゴーフ)の『ピョートル宮殿』、庭園『上の庭園』、噴水公園『下の公園』、そして、今や、“琥珀の間”で大人気のエカテリーナ宮殿を訪れました。天気がいまひとつ芳しくなくどんよりとした天気でしたが、両方ともそんな悪条件を吹き飛ばすほどの美しさに圧倒されてしまいました。そして、このような歴史的な場所を訪れる時は、日本語のガイドさんは必須です。ただ、景色を見たり雰囲気を楽しんで過ごすのももちろん良いのですが、せっかく訪れたのだから歴史的な背景を日本語で聞いてみたいものです。「ほ~っ」と思うことがいっぱいあります。

エカテリーナ宮殿(サンクトペテルブルグ近郊)

エカテリーナ宮殿舞踏の間(サンクトペテルブルグ近郊)

特に、エカテリーナ宮殿は、部屋数も多く、ガイドブックにすべての解説は載っているわけではないのでガイドさんがいると、とても有意義に過ごせます。それと、ガイドさんが一緒に付いてくれる大きな大きな利点があります。それは、ここしばらくは続きそうな『琥珀の間』人気で夏の期間は、大勢の観光客が訪れます。そのため、ガイドさんが同行するツアー客が優先されるため、個人で訪れると入場できない可能性があるのです。長い時間並んで待ったあげくに入場できないなんて目もあてられません。というわけで、ペトロドヴァレェツとエカテリーナ宮殿観光は、是非ともツアーに参加しましょう!!
因みに、この日お世話になったガイドさんは、地球の歩き方・ロシアに登場する、“サンクトペテルブルクっ娘のアリーナちゃん”のお母様でした。そのアリーナちゃんは、現在、東京でお仕事をしていらっしゃるそうです。

☆6時間滞在を目標に気合を入れて臨んだエルミタージュ美術館見学

エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルグ)

次の日は、予算の関係もあり、ガイドさんにはお願いせずに一人でエルミタージュ美術館に向かいました。この日は、朝早くから雨が降っていました。地下鉄を降り傘を片手にエルミタージュ美術館を探すのは一苦労でした。ガイドブックは雨粒でぐちょぐちょ。何故だか通りの名前は長ったらしく、ロシア語の文字を判読するのはとても大変でした。極度の方向音痴の私ですが、何とかエルミタージュ美術館の場所にあたりをつけて歩き始めると売店があったので「エルミタージュ」と言ったら、その方向を指で指してくれました。エルミタージュ美術館は、最寄り駅から徒歩で約10分。周辺には、『イサク聖堂』や『血の上の救世主教会』など見どころがたくさんあるので歩いていても決しては飽きない場所です。ただ、エルミタージュ美術館には開館時間前に到着した方がよいよというガイドのガリナさんの指示に従い、一路、エルミタージュ美術館を目指しました。団体客用と個人客用の入口が別々だと聞いていたので既に長くなりつつあった行列には並ばず、まずは、係員に確認することにしました。しかし、係員は、悲劇的にまったく英語がわかりません。何度も質問を繰り返していると、列に並んでいた訪問者がここでいいよと教えてくれました。最後尾に並んでいると程なく列は動き始め中に入れました。中に入ると中庭になっていて訪問者はそれぞれ足早に前へ前へと進んでいましたが、その波が二手に別れました。

エルミタージュ美術館パブロ・ピカソの絵(サンクトペテルブルグ)

どっちに行ってよいかわかりませんでしたがとにかく、また列に並びました。私の周りの人たちも右往左往。きっと初めて訪れた人達だったのでしょう。結局、二手に分かれた列は別にどちらに行ってもよく、単に、右から入るのか、左から入るのかという違いで、それぞれの列に対応するチケット売り場が中にありました。エルミタージュ美術館に開館前に到着してから中に入るまで40分かかりました。雨が降り続く中、待ち続けるのは少々つらかったです。
この日は1日のフリータイムをすべてエルミタージュ美術館見物に費やすつもりで気合を入れてやってきました。今まで、美術館や博物館巡りは2時間もすると足が棒のようになり気力が萎えてくるのが通常の私でしたが、ふと気付くと4時間が経過していました。さすが、世界4大美術館のひとつ、エルミタージュ美術館は見応えがありました。

☆大変だけどこれが異国を旅する醍醐味!~ロシア地下鉄乗車指南~

サンクトペテルブルグの地下鉄
地盤がゆるいのでかなり深く潜るのが特徴です

エルミタージュ美術館には、ホテルから地下鉄に乗って移動しましたが、地下鉄に乗る際もコツが要ります。切符売り場の人たちに行き先を告げて切符を買うのですが、ここでもまったく英語が通じません。「エルミタージュ美術館に行きたいので最寄り駅まで」と言ってもわかってくれないのです。つまり、駅名をできるだけ正確なロシア語発音で係員に告げないといけません。ここで、皆さんにアドバイスです。切符を買う前にガイドブックを見ながら発音の練習をしっかりしてからトライしましょう。でも、よく考えてみると地下鉄の運賃は均一なのです。運賃は均一なのだから、いちいち行き先を告げて切符を買う必要はないのではないかと疑問を持ったのは日本に帰る飛行機の中でした。それから、やっかいなものが、どちらの方向に乗ればよいかということと乗り換えです。サンクトペテルブルグの地下鉄は5路線。モスクワは11路線もあります。特にモスクワの地下鉄は規模で言っても東京の地下鉄に匹敵するほどではないかと感じました。
いざ、ホームに下りてみてもどちらの電車に乗ってよいのかルート表と案内表示をしっかり確認しないとわかりません。それと、乗り換えの時も同じです。そして、乗ったはいいが、流れるようなロシア語の車内放送を聞いても次の駅名を聞き取るのがこれまた至難の業です。さらに悪いことに、駅に着いても日本のように駅名がしっかり書かれていず、何駅に着いたかが即座にわかりません。乗ってる間中、目的地の駅までの駅数を指折数え続け、緊張の連続です。でも、何回か地下鉄を利用するうちに徐々に慣れてくる自分がわかってきます。成長する自分を感じることができ、「楽しい~」と妙な充足感を覚えてしまうのは私だけでしょうか。

☆ロシアの見どころはとにかくスケールがでかい!!

プレオブラジェンスカヤ教会(キジ島)

キジ島を案内してくれたツアーガイドのユリアさん

私が今回訪れた場所は、他に、ペトロザヴォーツクにある世界遺産の島・キジ島、モスクワのクレムリン宮殿と赤の広場。どれもスケールがでかく、これらもまた見応えたっぷり。歴史の重みをずっしりと感じる観光名所でした。

長閑な雰囲気満点のキジ島

午前3時。夏のペトロザヴォーツクの朝も早い

キジ島はロシア北部のカレリア地方のオネガ湖に浮かぶ小島。この島にはロシア最古の木造建築が残されています。中でもプレオブラジェンスカヤ教会のすばらしさには感動します。複雑な木組みが施され1本の釘も使われていない高度な達人技と誰をもうならせる造形美はまるで1本の木から彫り上げた芸術作品のようでした。現在、残念ながら老朽化が進み内部には入ることはできませんが修復作業が順調に進めば近い将来内部が公開されることになるでしょう。他にオネガ湖一帯から現存する木造建築の傑作がキジ島に集められ教会群周辺が屋外博物館となっています。建築物もすばらしいのですが、キジ島のどかな景色を見ていると心が洗われるようです。それもまた絶品です。

クレムリン・大クレムリン宮殿(モスクワ)

クレムリン・ブラゴヴェシチェンスキー聖堂

そして、テレビや新聞などで何度も目にしていたクレムリン宮殿と赤の広場。クレムリン宮殿の中に入るには開館時間が不定期なことと、荷物を預ける場所と切符を買う場所が異なる、入口のゲートもいくつかあるなど初めて訪れる人にとっては非常にとっつきにくい場所でした。でも、クレムリン宮殿のそばまで来たら、子供の頃に聞いた日本語のモスクワ放送でも何度も耳にしたクレムリン宮殿の中にどうしても入ってみたくなり、右往左往しながらも何とか入場することができました。大統領官邸や元老院の見物はできませんが、迫力ある豪壮な宮殿や壮麗で優美ないくつもの聖堂などなどこれらもまた、長い長いロシアの歴史をひしひしと感じるすばらしい体験となりました。

☆個人のスペースも広く快適なロシア寝台列車の旅

ゆったり感十分の二等寝台列車(スーツケースはベッドの下へ)

私は、列車の旅、しかも、寝台列車の旅が好きです。今回の旅では2回乗ることができ、体への負担は少々大きかったのですが、ロシア旅情を存分に満喫できました。やはり、ゆっくりのんびりの寝台列車の旅は最高です。大酒飲みのロシア人たちなので、早朝までも冷えたビールの車内販売がありました。(※でも、考えてみると日本も同じ。朝一番の新幹線でビール売ってますね。そして朝一番からビールを飲むサラリーマン・・・。)
私は、その寝台列車で、サンクトペテルブルグからペトロザヴォーツクへ。そして、ペトロザヴォーツクからモスクワへと移動しました。どうしても大きめのスーツケースで旅をすることになりがちな日本人にとっては、列車内のスーツケースの置き場に困ります。ロシアの寝台列車の場合、1等寝台は個室。2等寝台は片側2段の4人用のコンパートメントになっています。下の段のベッドの下にスーツケースを収納できる手頃なスペースがあるので、できるだけ下の段になるように手配をお願いするとよいでしょう。そうでなければ上の段のベッドの上にある棚に重いスーツケースを移動させないといけなくなります。男性でもえらいことです。車内販売は値段は少しお高めですが、いろんな物が販売されていますので車内で調達することで全く問題ないでしょう。あと、ここでも問題が・・・。

ペトロザヴォーツク~モスクワ間の寝台列車

車内アナウンスはすべてロシア語です。乗務員も英語がわかりません。話せても「ハロー」や「サンキュー」くらいです。キジ島観光後、ペトロザヴォーツクからモスクワへ戻る際、モスクワの到着が2時間も遅れてしまい、モスクワで待っているはずのガイドさんと会うことができませんでした。ガイドさんが到着時間をチェックして列車の遅れに対応し、待っていてくれるのが本来の姿です。しかし、今回は手違いでそのような対応がなされませんでした。私が、その遅れを察知し、現地の旅行会社に電話してモスクワの到着時間を連絡するという方法もありますが、ロシア語でのコミュニケーションが取れない私としては至難の業です。今回のことは現地旅行者に報告し、今後は、しっかりした対応をしてもらえるよう要請したので改善されると思われます。私が自力で、モスクワの駅からホテルまで移動したタクシー代金は後日、現地旅行者から返金していただきました。

☆あらためて知るキリル文字の存在

キリル文字のマクドナルド

英語がほとんど通用しないロシアではロシア語が少しでも話せたらそれは便利です。しかし、全くロシア語に馴染みのない者にとって短時間の学習で身につくほどロシア語は簡単ではないでしょう。そこで、有効な手段になるのがキリル文字(ロシア文字)を読めるようにすることです。ロシアの案内板には英語表記すらもほとんどないのでキリル文字が少しでも読めるとコミュニケーションが取れるようになります。出発前に少し勉強して現地ではキリル文字の一覧表とにらめっこしながら観光を楽しんでみましょう!暗号を解読するような感じでおもしろいですよ。例えば、コカコーラやマクドナルドなどの外来語にキリル文字があてがわれています。だから、キリル文字が読めると、それが何のことを指しているのかがわかります。ドリンク類で言うと、コカコーラの他に、ペプシ、シュウェップス、ファンタ、ペリエ、コーヒーなどです。外来語じゃなくても、日本でもお馴染みのロシア料理のボルシチやビーフストロガノフなども読めて理解することができます。これからロシア旅行へ行かれる方は是非お試しください。
そして最後になりましたが、私が子供の頃、モスクワ放送から送られてきたベリカードにこんな文字が書かれていました。

МОСКВА РАДИО

ろくにアルファベットも読めない私は、何が書いてあるのだろうと疑問に思いつつ無理やりアルファベット読みで“モックバパーノ?” 「МОСКВА」はきっとモスクワのことだろうと予想はつきましたが「РАДИО」って何だろうと思いながらも質問する人もいませんし、当時、インターネットなるものも存在していませんでしたから、それ以上追求せず疑問のまま放ったらかしにしていました。そして、今回のロシア旅行中、キリル文字の読み方をある程度学習した私は、昔見た「МОСКВА РАДИО」の正しい意味を知るに至りました。この文字をアルファベットに置き換えると「MOSKWA RADIO」。つまり“モスクワ放送”だったのです。

2011年6月 森

コメント

はじめまして。
今年ロシアに行って来ましたので、旅の記録を大変興味を持って読ませていただきました。私が行っていないところの写真を見れたのもうれしいです。

私も、ブログに、ロシアの歴史、文学とペテルブルグについて、現地に行って感じたことも含めて書いてみました。是非読んでいただけるとうれしいです。

よろしかったらブログに感想などなんでも結構ですので、コメントをいただけると感謝致します。

投稿者 dezire : 2011年08月01日 22:20

コメントをいただきまして誠にありがとうございます。今回の旅で、あらためまして、芸術に触れることの大切さを思い知り、また、高校時代に一所懸命勉強した世界史についてもほとんど身についてはおらずショックを受けながら各地の観光をしておりました。ただ、今回の旅でキリル文字に触れられた事は大きな収穫でした。引き続き弊社スタッフの旅行記をお楽しみいただけると幸いです。後程、dezireさんのページを訪問させていただきます。

投稿者 森 裕 : 2011年08月29日 17:27

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