フンザはクンジュラブ峠以南の一帯の地域名であり、昔の王国名である。
いい空気とストレスのない昔ながらの暮らし。たわわに実る果実と清らかな雪解け水。あんずの木の下で孫やひ孫を連れて日向ぼっこをするおじいさんの姿。これこそ、誰もがフンザに対して抱くイメージに他ならない。
クンジュラブ峠を越えて、パキスタンに入った私が、次に目指したのは、そんな天上の楽園フンザであった。
標高2,800kmの国境の町スストに1泊し、翌日は標高2,500kmのフンザの中でも代表的な村、カーリマバードへと下りていく。桃源郷のイメージは膨らみ、期待はつのる一方であった。