城壁に囲まれた旧市街は「アドリア海の宝石」(クロアチア・ドブロヴニク)

高台から見る旧市街の街並み

レンガ屋根と紺碧の海

ぐるりと一周が約2キロ。高いところで25メートルもある城壁が、旧市街の周りを取り囲む遊歩道になっている。ゆっくりと歩いて回ると、目に映るのは密集したレンガ屋根と石造りの建物、そして紺碧の海。その色彩のコントラストに目が奪われ、織り成す風景のひとコマひとコマに、ため息が漏れるばかり。
15世紀の頃、ベネチアと並び栄えた歴史を持つ貿易都市であったドブロヴニク。アドリア海に突き出すような城塞都市は、長い海岸線を持つクロアチアの中でも、とびきり情緒溢れる町として、多くの旅人を魅了している。少し離れたところから、旧市街の全景を見渡せば、それはまるでアドリア海にぽっかりと浮かんでいる島のようでもある。。

プラッツァー通り

中世そのままの旧市街

旧市街の内部はどこもかしこも、中世そのままの風景だ。入り口のピレ門から、200メートルまっすぐに続く目抜き通りがプラッツァー通りである。敷き詰められた大理石が、濡れたような光沢を放つ。両脇にはカフェやブティック、土産物屋が並んでいる。石畳の細い路地を入っていくと、中にも通りが張り巡らされていて、シーフードやピザ屋といったたくさんのレストランが、パラソルを立てたテラスで観光客を呼び込んでいる。

明るい雰囲気のマーケット

癒えた内戦の傷跡

1991年、旧ユーゴスラビアの時代に起こった不幸な内戦。そのちょうど1年前に、私はこの地を訪れたのだが、その後、セルビア軍などの攻撃で壊滅的な被害を受けて廃墟と化したと聞いた。この美しかった旧市街のこと、そしてあの時に出会ったさまざまな人々のことをとても心配していた。
その後修復が行われ、「危険にさらされている世界遺産リスト」から1994年、無事、世界遺産に登録されるまでに復旧が進んだ。
近年、久しぶりにこの地を訪れ、再会を果たしたドブロヴニクの姿は、昔のままに、感動的に美しいものであった。

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