美しい素朴な村と星付きレストランの豪華ランチ・南仏プロヴァンス

堅牢で凛々しい姿が美しいゴルド村の家並み

厳しい認定基準の「フランスの最も美しい村々協会」加盟の村

陽光のもと色鮮やかな花が咲き、みずみずしい野菜や果物、香り高いハーブで満ち溢れた村々。オーガニックで滋味ある美味しい料理と芳醇なワイン。美しい自然の中で暮らす素朴な人々との出会い。南仏、プロヴァンスを旅するなら、アヴィニョンで世界遺産の法王庁教会を見学したら、足を伸ばしてそんな田舎の村々を訪れるのがお薦めだ。

「フランスの最も美しい村々協会」というのがある。人口2000人以下、最低2つの保護遺産があるなど、厳しい認定基準をクリアして選ばれた村がフランスに151あるそうだ。そしてこの協会に加盟する村がここプロヴァンスにもいくつかある

「フランスの最も美しい村々協会」加盟のゴルド村

有名な画家・シャガールも愛した美しい村

私たちが夏休みに滞在したゴルド村がそのひとつだ。「鷲の巣村」と呼ばれる、断崖に張り付くようにしてびっしりと建ち並ぶ土色の家並みが堅牢で凛々しい姿を見せる。プロヴァンスならではの糸杉があちこちで緑のアクセントを添えて、均整の取れた存在感のある風景だ。画家のマルク・シャガールもこの村を愛し、この地に着想を得ただけあって、今もゴルド村では多くの芸術家が活動している。11世紀に建てられた城砦など、中世の建物がそのまま残る村の中を散策していると、カラフルな野菜をディスプレイした八百屋さんや、赤いギンガムチェックのテーブルクロスが可愛いカフェがあったりして楽しくなるのだった。

ミシュラン2つ星のレストラン
「ラ・バスティッド・ド・キャプロング」

お食事中の“満足”の笑顔

気さくなオーナーシェフの
エドゥアール・ルベ氏

レストランでは犬のスカッチが遊んでくれる

ミシュラン2つ星のレストランのお味はもちろんリーズナブルなお値段にも満足!

食いしん坊の私たちにはゴルド村滞在中にやってみたいことがあった。それは近隣のボニュー村にあるミシュラン2つ星のレストラン「ラ・バスティッド・ド・キャプロング」で食事することだった。電話してみると、とても感じのいい女の人が出て、翌日のランチなら空いているとのこと。
タクシーで30分あまり走って着いたところは、自然の美しいのどかなボニュー村にある瀟洒なオーベルジュ。ゆったりしたレストランのインテリアは白を基調にしたエレガントなもので、緑がいっぱいの庭から光が差し込んで心地よい。初めてなのに居心地がいい不思議な空間であった。スタッフのホスピタリティ(もてなし方)も一流で申し分ないサービスである。
ミシュランの2つ星とは思えぬ58ユーロというお手頃のコースメニューが設定されていて、娘用には3コースの子供メニューがステーキ付で18ユーロとは良心的だ。
まずアミューズ(突き出し)の豪華さに驚かされた。赤カブやアーティチョークなどプロヴァンスの新鮮な野菜とアンチョビのペースト、夏にふさわしいメロン入りの爽やかなガスパチョ(スペイン料理で出される冷製のトマトベースのスープ)、アラブ風ミニコロッケ、黄色いメロンのワインがけ。その後にオードブルで、細いカリカリポテトに細切り大根とひまわりの花のマヨネーズソースあえにふんだんにトリュフがすりおろされる贅沢な一品。全部をミックスして食べると不思議な調和があり美味である。
ユニークなセロリの香りのお口直しのソルべ(シャーベット)の後はいよいよメインディッシュの仔羊のローストだ。とてもベイシックな料理だがそれだけに味の良し悪しがわかる一品。ジューシーな肉は柔らかくまったく羊の臭みがないので、日ごろは羊嫌いの我が家のみんながぺロリと平らげる。付け合せのポテトグラタンが、木の幹で作った皿の上に盆栽と一緒に登場した趣向に脱帽であった。
デザートはラベンダーのスフレ。熱々のスフレなのに中にはアイスが入っていて、ナッツをふりかけて頂く絶品デザートであった。食べ終わっても体中にラベンダーの香りが染み込んでいるような、プロヴァンスならではのランチタイムであった。
食べ終わって庭を散歩していると、生成りの上っ張り姿のひとりの男性が、大きな犬と一緒にホースで庭の植物に水をやっていた。私たちに気さくに声を掛けてくれたその人はここのオーナーシェフ、エドゥアール・ルベ氏で、犬の名はスカッチという。世間話をして、別れ際にも私たちを見送ってくれた。2つ星の有名シェフなのに、こんな田舎にいると気取っていなくて感じがいいのが、またまた印象的であった。