アマゾンのジャングル体験(ブラジル)

ミステリーツアー

早朝、リオデジャネイロを出たフライトは4時間余りで、アマゾン観光の拠点の街マナウスに到着した。リオとの時差は1時間。時計の針を戻すことになる。国内でも時差があるのだ。ブラジルという国の大きさを再確認する。
マナウスのホテルに滞在して、アマゾン川を下るジャングルクルーズに乗るのだが一般的な観光プランなのだが、私は街中ではなくてジャングルの奥地に滞在することにこだわった。以前たまたま旅行雑誌に小さく紹介されていた「アリマウ・ジャングルロッジ」というホテルに予約を入れておいた。どこにあるかは行ってみないとわからない、まさにミステリーツアーだ。
迎えのバンに乗り込む。街の郊外にあるのか? しばらく走ると桟橋に着いた。ボートに乗るようだ。せいぜい30分くらいで着くだろう。そんな甘い予想は見事にはずれ、なんと目的地まで3時間もかかる船旅となった。

大嵐に出遭う

アマゾンの支流リオ・ネグロ(スペイン語で黒い川の意)を上流へ遡(さかのぼ)っていく。その名のとおりクロに近い焦げ茶色の水をたたえ、今にもワニが顔を出しそうなジャングルを象徴する川の色。アマゾン気分も十分だ。
船旅の後半になると、だんだん雲行きが怪しくなり、スコールが襲ってきた。船は大揺れし、黒い水が濁流のようにザバーッ、ザバーッと押し寄せる。とうてい川とは思えない。大海原で嵐(あらし)に遭ったみたいだ。
なんとか嵐もおさまり、船は細い支流に入っていく。さっきまでの嵐が夢だったみたいに、なめらかな真っ黒の水面に両岸の色鮮やかな緑の木々がくっきりと映し出されて、神秘的な光景だ。
「イルカだ!」ガイドの男の声が静寂を破った。彼の指さす方を見たが、すでにイルカの姿はなかった。残念。かのジャック・クストー氏もこの地に1カ月滞在してピンクイルカの研究をしたことがあると聞く。
川の中にはワニやピラニアもいる。ドキドキしながら静寂のジャングルを眺めているうちに、滑るようにして船は目指すホテルへ到着した。

スリル満点の日々

すべてが木造でモスグリーンに塗られた「ジャングル・タワー」は森の緑の中に見事に同化しているユニークなホテルだ。地上30メートルもの高床式の建物が空中の渡り廊下でつながり、自分がサーカスの綱渡り師にでもなったみたいでスリル満点。どこにいてもジャングルと川の風景を見渡せるのがすばらしい。
午前と午後に1日2回、ホテルのボートで行くジャングルツアーも楽しい。
午前は「ジャングルクルーズとハイキング」。細長いエンジン付きボートでリオ・ネグロにあるという400もの島のひとつに上陸してのジャングルハイキング。午後は「スイミングとピラニア釣り」。熱帯アマゾンだから暑い日中、川でも泳ぎたくなるのはやまやまだ。
ここは大丈夫と連れて行かれたビーチで欧米人は皆ジャバジャバ泳ぎ出す。ビーチといっても黒い水中は何も見えない。
泳ごうかどうしようか悩んでいる私に、レンジャーガイドのお姉さんは言った。
「泳ぎたくなければ、ピラニア釣りでもしますか?」釣ざおを用意して私を連れて行ってくれたのは、人々が泳いでいるすぐ隣の桟橋であった。