世にも不思議な泥のモスク

ドゴン族の歓迎セレモニー

世界遺産の宝庫・マリ

すべてが泥で塗り固められた奇妙な外観。この世のものとは思えないユニークな建物だ。でも見る者の心を惹きつけて止まない優雅な魅力に満ちている。ずっと前に写真で見て、ぜひこの目で見てみたいと長年の念願だった、このジェンネの泥のモスクに、やっとのことで遭遇できたわけである。
ジェンネは西アフリカのマリ共和国にある、もっとも古い町のひとつである。広大なブラックアフリカの中でも指折りの文化遺産を有する魅惑的な国マリには、ジェンネのほかにも世界遺産に指定されているドゴン族の村々や北部にはサハラ砂漠があって、辺境を目指す旅人にとって永遠の憧れの地である。首都バマコからはるばる悪路を延々と走りぬいてやって来た甲斐があった。

泥のモスク

独特のデザイン・泥モスク

ニジェール川の支流バニ川の中洲の島にあるジェンネには、渡し舟のようなフェリーで渡っていく。一度に車4台しか載らないので、のんびりしたものだが、ドゴン族の木の仮面や、石のアクセサリーなんかを売りにくる地元の子供たちとのやり取りもまた楽しい。
1280年、26代目の王がこの地に建てたグランドモスクのデザインを礎にして、1907年にこの地に建てられたのが、ジェンネで2番目に古いこの泥のモスクであった。建物全体の基盤が、ニジェール川の湿地で作られる日干し煉瓦で、外壁は泥で塗り固めてある。支えとなる木のつっかえ棒がたくさん飛び出して、このモスク特有のデザインともなっている。年に一度、雨季の前に泥を塗り替える作業がすごい。数千人の男たちが集まってきて、一気に数時間で仕上げるという伝統的な行事で、その様子は圧巻だと聞く。突き出た棒は、この作業の際も便利な足場となるのだ。

ジェンネの月曜市

ジェンネの月曜市

マリのモスクがどこもそうであるように、残念ながらこのモスクにもイスラム教徒以外は入れない。10の戸口があり、8つは男性用、裏の2つのみが女性用。ただし、若い女性は入場禁止。子供の産めなくなった年輩の女性のみが入れるのだという。
モスクの前の広場では、毎週月曜日に市場が開かれる。近郊の人々が持ち寄った野菜や果物、食料品に日用品などが所狭しと並べられ、ぎっしりの人々で溢れかえる。これこそが、マリを旅する誰もが目指す「ジェンネの月曜市」なのである。

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