迷宮の都マラケシュ探訪…… そして憧れの「アマンジェナ」へ(モロッコ)

マラケシュ

今回、4年ぶり、3度めのマラケシュへの旅であった。マラケシュの町の歴史は古く、11世紀後半にベルベル人による最初の国家ができて以来、最も栄えたのが 15世紀半ばのサーディーン朝の時。フェズに次いで2番めに古い都であり、フェズと並ぶモロッコの2大古都なのである。だから見どころも多く、モスクに宮殿、庭園に王族の墓などと、観光ポイントがたくさんある。でも何をさしおいても私がまず訪れるのが、大道芸人の集まる「ジャマ・エル・フナ広場」だ。
オレンジを目の前で絞ってくれる生ジュースの屋台がズラリと並び、夕暮れ時ともなると、炭火でケバブを焼く屋台なども現れ、同時に、ヘビ使いや猿使い、火吹き男やアクロバット、ベルベルダンサーまで登場して、その活気は凄いものになる。
広場の周りは迷路状のスーク(市場)で、衣料品やモロッコ名産の革のスリッパ、真鍮製品に木彫品、野菜に肉に香辛料など、売っていないものはないと言われるスークなのである。ここを案内人なしで歩き回ったら必ず迷子になってしまう。

ソフィア大聖堂

スーク見学

毎回のぞいてみたくなるのが、スークの中のタンネリ(革染め工場)。地元スークで生まれ育ち、迷路の奥の奥まで知り尽くしたネズミ男(モロッコスタイルのフード付きマントを着ている)に案内してもらう。牛や羊の皮を洗い、赤や黄色に染められていく昔ながらの革なめし工房といったところだ。かなり臭いが鼻につくが、ここはやはり必見だろう。
スーク見学のあとは、ファイブスタークラブで企画しているホームステイ先の新しい家庭を視察を兼ねて訪問する。メディナの中にあって広場やスークにも歩いてすぐのとても便利な、しかもとびきりモロッコを感じさせてくれるエリアにある。
ごく普通のモロッコ人の家庭を覗いて、モロッコの生活を味わうというプランの一部を体験させてもらった。3階建ての白い石造りの家は細い石の階段の壁もモロッコ風のタイル帖りでムード満点。
8人暮らしで、優し気なお母さんをはじめ、4人の女性たちが皆、ベゼ(モロッコ流の両頬にキス)をして歓迎してくれた。ちょうどランチのクスクスを蒸しているところを見せてもらった。
今回は時間がないので、ごちそうになるだけで残念だが、次回はスークにお買い物から料理作りまで一緒にさせてもらいたいものだ。皆が集まり食事タイム。出来上がったクスクスは牛肉が驚くほど柔らかく味わいのある一品で、今までどこのレストランで食べたクスクスよりおいしかった。これはやはり本物の家庭の味というものだろう。
モロッコ人の家庭にお風呂はなく、近くのハマム(共同サウナ)へ行って汗を流す習慣だが、これも次回はぜひやってみたい。
それと、女の人に描いてもらう草花の入れ墨「ヘンナ」も要体験だろう。

人気のアマンジェナに泊まる

午後、待望のホテル「アマンジェナ」にチェックイン。実は3度めのマラケシュ訪問の大きな目的のひとつがこのホテルに泊まることであった。今アジアで人気の高い「アマンリゾーツ」がアフリカ大陸に初めて建てたホテルである。マラケシュ郊外の荒涼たる土地に夢のようなホテルが突如として現れるのには、本当にワクワクさせられる。マラケシュカラーの日干しレンガ色の建物はモロッコの伝統的なスタイルだが、華美に走らず、すっきりと上品でかつ格式は高いというのがアマンらしいところ。
まず目を引く美しさが回廊式の中庭の広大な正方形の池。イスラム建築らしい水路をホテル内の隅々まで引いて、建物のサーモンピンクとエメラルドグリーンの水の生み出す色彩美を見せてくれる。パビリオンと呼ばれる1軒ずつ独立したコテージは、あまりにもゆったりと広く、最高に居心地のいい造りになっている。外観は四角いカスバ風の建物が、一歩中へ入るとドーム天井で、その上に大きなダブルベッド、奥にはとても明るいガラス張りのバスタブで、外に2本のオレンジの木がある。
中庭には小さな噴水と大きなソファー、テーブルのある東屋があって、1日中、不思議なくらい気持ちのいいそよ風が吹いているのだ。本を読んだり、ルームサービスの食事をしたり……このスペースで過ごす快楽を知ってしまうともう後戻りできなくなる。
「アマンジェナ」は、ここに泊まりに来るためだけに、マラケシュにはるばるやって来ても悔いはない。そんなホテルである。
このホテルに滞在しながらのマラケシュのメディナ探訪は今までにない、新しい旅のかたちを生み出してくれるに違いない。