サハラの赤い砂漠クサール・ギレンとテントロッジ (チュニジア)

クサール・ギレン

チュニジアで最もサハラのイメージを味わえる場所、クサール・ギレンを目指した。トズールの近郊やドゥーズの砂漠の白っぽい砂に比べ、こちらの砂漠は赤く美しいのだ。なだらかにカーブするデューン(砂丘)には夜風によって造られた風紋が遙か彼方まで広がり、その光景は月の上か、どこかの惑星にでもいるような気分に浸らせてくれる。4WDを駆って縦横無尽にデューンを登り、下り、スリル満点の砂漠サファリを楽しむ。
風紋の上に新たな模様を描いて走る4WDがいくら必死に駆けまわっても、その直後に砂漠を吹き抜ける風が、あっという間にタイヤの跡など消し去ってしまう。砂漠の中では何もかもちっぽけな存在だと実感するのである。

パンシー・ドゥアール・クサール・ギレン

そんなクサール・ギレンまで訪れる人はまだメジャーではない。チュニジアの砂漠としてはドゥーズまでが大多数のツアープランだからだろうが、あと3時間、奥地へ足を延ばせば、本物の「赤い砂漠」が待っているのだ。そして、わざわざ行くからこそ、この地では絶対に一泊してみたい。泊まってみないとできない体験がたくさんあるからだ。「パンシー・ドゥアール・クサール・ギレン」は私の泊まったテントロッジの名前である。クサール・ギレンにいくつかあるキャンプホテルの中では最高の設備のテント式ロッジだ。外観は大きなテントが60ズラリと張りめぐらされているが、中は単なるテントとは大違いでキングサイズベッドにセンスのいいテーブルと椅子。リネン類もカーペットもステキな色柄である。エアコンが完備し、常時お湯のでるシャワー、トイレ、洗面所、そしてクローゼットまであって、もう立派なホテルの1室である。ランチもディナーもちゃんとしたコース料理を出してくれるレストラン、砂漠ムード満点のインテリアのバー・ラウンジもあって驚かされる。太陽が焼け付くような日中は、ゆったりと大きなプールでひと泳ぎ。陽気なフランス人グループはプールの中でワインをついでもらい、乾杯してとっても楽しそうだ。近くには体にとてもいい温泉があって、皆水着姿で入っている。日本人にはちょっとぬるすぎる温泉だが、欧米人は皆大好きなようで、いつもたくさんの人が浮かんだり、中でワイワイ楽しそうにやっていた。
こんなロッジにいると、一瞬自分がいる場所がわからなくなるが、実は大砂漠のど真ん中の、オアシスの中にいるのだと思い出すと、とってもドキドキしてくる。ホテル内の展望タワーの屋上まで昇ってみた。確かに当たり一面、見渡す限りの砂漠に囲まれたナツメヤシの木々の茂るオアシスの中に自分がいる。大海原に浮かぶ孤島にいる気分だ。
夕陽の頃、赤い砂はもっと赤く染まり、感動的なシーンを見せてくれる。ラクダに乗って、ローマ時代のクサール(要塞)跡を見に行くのもよし。少し早く起き出して、少し歩けばもう砂丘の上で、大きな日の出を拝むもよし。1日中、赤くてサラサラしたサハラの砂に触れていられる、こんなすばらしいオアシスがあったとは!チュニジアの旅を2度体験した私が今、イチ押しのスポットが、ここクサール・ギレンに他ならない。