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世界100か国以上を旅してきたトラベルプランナーが中国四川省の魅力をご紹介!

四川省で絶対食べたい激辛料理!
私、伊藤卓巳は、バックパック旅行や視察旅行を通じて、これまで世界100か国以上を旅してきました。その中でも、特に思い入れが強い国の一つが中国です。
これまで8回ほど中国を訪問していますが、毎回頭がくらくらするほどの強烈なカルチャーショックに遭遇します。日本からすぐに行けるにも関わらず、これほど刺激の強い国は他にあるのだろうかと、いつも感嘆してしまいます。
2025年6月に訪れたのが四川省。麻婆豆腐にパンダ、三国志ゆかりの見所など、私たちがイメージする中国がぎゅっと詰まっている地方です。この四川省の魅力を、チームのスタッフ能祖文子とともに2人でご紹介します。
四川省とは中国の「四川」と聞いて、きっと多くの人が思い浮かべるのが「四川料理」ではないでしょうか。そうです、あの「赤くて辛い」麻婆豆腐をはじめとする激辛中華料理の本場です。
四川省は中国の西南部にあり、その西部はチベット自治区に隣接しチベット族も暮らしています。北部の山間部には美しい風景が残り、中でも絶景と称される九塞溝は世界遺産ともなっています。中国はとにかく広く、エリアによって全く雰囲気が異なります。ここではこの四川省に絞って、魅力をご紹介します!

エメラルドグリーンに輝く湖に息を飲む<九寨溝>

湖底までくっきりと見える透明度!五花海
四川省北部の山々に囲まれた九寨溝は、長い時間をかけて地殻変動や氷河による浸食などによって生み出された景観です。2000年以降空港やホテルなどが整備され、ぐんと観光がしやすくなりました。広大な景勝地の中には「海子」と呼ばれる氷河由来の透明度の高い堰き止め湖がいくつもあり、湖底に沈む倒木が神秘的。敷地内の移動には環境に配慮された観光用の電気バスを利用して、効率的に回るのがポイントです。

高地でこの迫力!諾日朗瀑布
太陽の光によって湖面が輝く様が火花の様に見える火花海や、多種の藻による多彩な色を見せる五花海、幅が320mにも及ぶ諾日朗瀑布などそれぞれ美しさが違います。それらを満足に楽しむには2日間は欲しいところです。(2017年8月九寨溝県で大地震が起き甚大な被害を受けました。現在は受け入れ再開となっていますが、様々な制限が出ています。)
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自然が造り出すライステラス<黄龍>

空の色により様々な色に変化する美しい五彩池
九寨溝と共に世界遺産に登録された黄龍は標高4000m近くにある景勝地。地下水に大量の石灰質が含まれる為、流れる水の一部が乳白色の結晶となって蓄積し棚田の様な独特の景観を生み出しています。標高3700mにある五彩池は天気によって色を変え、晴れた日でも曇りの日でもそれぞれ美しい色を見せてくれる絶景スポットです。

山の上に突如現れるライステラス
黄龍は山の上にあり、片道7キロを歩くのは体力に自信がない限り辛いところ。そんな時は山頂まで5分で上ってしまうロープウエイを利用しましょう。山頂駅から五彩池まではなだらかな道を歩きます。標高が高いので休憩所にある酸素吸入をしながら無理をせず楽しみたいですね。
手軽にハイキング&高山植物鑑賞が楽しめる四姑娘山

四姑娘山の麓の美しい湖・隆珠措
この地域の山岳地帯の有名な観光地は九寨溝だけではありません。成都から4時間ほどで行ける四姑娘山(しくうにゃんざん)周辺も、最近人気の見所です。九寨溝とは違い空港や鉄道駅はありませんが、山と渓谷が織りなす絶景を楽しむために中国全土から多くの観光客が訪れています。

ハイキング途中で見つけた高山植物
2006年に四川省パンダ保護区の一部として世界遺産に登録されたここの魅力は、手軽に高山ハイキングや高山植物鑑賞が楽しめること。標高6250mの四姑娘山の麓に双橋溝、長坪溝、海子溝の3つの美しい渓谷があり、その中でも双橋溝は標高3800m近い谷の奥までバスで簡単にアクセスできます。谷の各地に設けられた遊歩道を歩くと、6月から7月にかけブルーポピー、サクラソウ、エーデルワイス、アツモリソウなど高山地帯ならではの植物を見つけることができます。
2300年の歴史をもつ交易路の中継地<松潘>

城壁内にはお店も建ち並び賑わう
四川省北部2000mの高地にある松潘は古くから交易地として栄え、当時の城壁が未だ残る歴史ある町です。城壁に囲まれた松州古城城内は小さいですが、民芸品を売るお店やお菓子や果物を売る屋台などが並び、見て歩くだけでも楽しいものです。

立派な松州北門 ロマンを感じます
この町が出来て松州と呼ばれていた7世紀、中国は唐の時代でチベットと中国を結ぶ重要な役割を担っていました。城壁の北側にある当時の姿を残す北門には、チベット建国者ソンツェン・ガンポと中国皇帝の娘文成公主の像があります。公主は仏教をチベットへ伝え、両国の和睦に務め慕われたことからお嫁に行く際に通ったこの地にも像が建てられています。
三国時代「蜀」の都<成都>

武侯祠博物館で諸葛亮や劉備に会う
四川省の省都、成都は四川盆地の豊かな土地にあることから「天府の国」とも言われています。三国志時代の蜀の都でもあり、武将劉備や諸葛亮を祀った武侯祠博物館は三国志ファンにはたまりません。また、古代四川文明の遺跡や出土品もここ成都で発見されこれらを保存する金沙遺址博物館は必見です。

明清時代の街並みを再現した人気スポット錦里
町には地下鉄も走り、デパートやショッピングセンターも建ち並びますが、近年再開発で昔の雰囲気を生かすレトロな町並みにオシャレなお店が建ち始め、若者や外国人の間で人気となっています。成都は九寨溝やパンダ観光の拠点となり通過しがちですが、それではもったいない。ゆっくり回るための1日は欲しい町です。
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1200年間河を見守り続ける<楽山大仏>

遊覧船から見る楽山大仏<楽山>
成都から南に車で約2時間、二つの大河の合流地点にある楽山。ここには世界最大の石刻座仏「楽山大仏」があります。この巨大な大仏の全貌を見るためには遊覧船に乗船が必須!鎌倉の大仏の高さが13.3mですが、なんと楽山大仏は高さ71mもある巨大な大仏なのです。1996年に世界遺産となりました。

上から見下ろすとこんな感じ
古来より水害が多く発生していたこの土地の人々の願いもあり、河の氾濫を鎮めるために90年の歳月をかけ建立されました。唐の時代より約1200年の間、変わらぬ姿で河と人々を見守り続けているのです。
パンダの故郷と言えば中国、中国と言えば<パンダ>

木の上でお休み中のパンダ
日本の動物園で赤ちゃんが1頭生まれると町全体が盛り上がり、お祭り騒ぎとなるほどの希少動物ジャイアントパンダ。そのパンダの故郷が中国四川省です。成都の空港や町中ではパンダグッズがそこら中で売られ、パンダはもはや風景に。そんなパンダに会わずには帰れません!

雅安碧峰峡パンダ基地 親子パンダ<雅安>
この施設では希少動物であるパンダを保護・繁殖するため、成都と周辺には4つのパンダ基地が設立され、旅行者でも見学することができます。どの施設でも赤ちゃんパンダから大人パンダまでが飼育されていますが、やはり足が止まってしまうのは幼少期!沢山の子パンダがじゃれ合う姿が可愛すぎて、そこにいる観光客全員が癒されているのがわかる程。木によじ登っては足を滑らしたり、転んだり、そんな小さな失敗が愛らしくてなかなか目を離せません。パンダに興味がない人でも絶対癒されるはずです!
それでは実際にファイブスタークラブのスタッフが見学したパンダ基地を3つ、ご紹介しましょう。
<成都パンダ繁育研究基地>

パンダ基地の中で最も設備が充実しており、お土産もたくさん
唯一成都市内にあるパンダ基地が、日本生まれの桜浜や桃浜など、100頭以上ものパンダが暮らす成都パンダ繁育研究基地です。敷地は最近拡張され、現在はなんと東京ドーム約60個分の広さに。園内にはたくさんの飼育棟があり、ジャイアントパンダたちが悠々と暮らしています。パンダファンならここに一日中いても飽きることはないはず。ショップも充実しているので、ぜひここで可愛いパンダグッズをそろえましょう。園内を有料カートが走り回っているので、見学の際はうまく利用して。
<雅安碧峰峡パンダ基地>

中国でも大人気のシャンシャン
上野動物園のアイドルとして人気を博しながら、2023年に惜しまれながらも中国へと返還されたジャイアントパンダのシャンシャン。その現在の住まいが、四川省の雅安にある碧峰峡パンダ基地です。ここは2003年に竣工したパンダ研究基地で、本来の生息地に近いよう設えられた環境で、50頭ほどのパンダがのんびり暮らしています。中でもシャンシャンは現地のパンダファンにも大人気で、ここでもアイドルになっているよう。シャンシャンの母親シンシンもここにいます。パンダの生態が分かるミニ博物館もあるほか、希望者はエサ作りなどボランティア飼育体験に参加することもできます。
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ここも園内は広いので、有料カートでの移動がおすすめです。
<臥龍神樹坪パンダ基地>

じゃれあう親子パンダ
臥龍神樹坪パンダ基地は、成都から車で約2時間、都市部から離れた立地にあります。ここは四川省のパンダ基地の中では一番新しく、この地域に大きな被害を与えた四川大地震後の2016年にオープンしました。園内はコンパクトで巡りやすく、さらにパンダにストレスを与えずに至近距離で見られるよう工夫されています。ここで生活しているパンダの数は60頭ほど。シャンシャンの父親リーリーがここに住んでいるので、運が良ければ見られるかも。また雅安碧峰峡パンダ基地と同じく、観光客を対象にボランティア飼育体験も行っています。
見た目真っ赤!激辛<四川料理>

有名な陳麻婆豆腐店の麻婆豆腐
四川料理と聞いて誰もがまず思い浮かべるのは麻婆豆腐ではないでしょうか。そう、四川省で多く使われるのが唐辛子や山椒の実です。四川盆地は元々湿気の溜まりやすい場所で、中医学によると水分代謝が落ち、体に水が溜まる「湿邪」に陥る事が多いことから、辛いものを食べ新陳代謝を良くする医食同源の考えから用いられています。

町中の食堂のご飯が本当にどれも美味しい
四川料理は辣(辛味)・麻(痺れ味)・酸(酸味)・甜(甘味)など香辛料を上手く絡み合わせ複雑な味わいを作り出します。四川の本場麻婆豆腐は山椒粉が多く使われ痺れが強いのが特徴。これが本当に癖になる美味しさです。辛い物好きには成都の「美食之都」にも頷けます。もちろん辛くない四川料理もあるのでご安心を!
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まとめ

田舎町での子供の笑顔は本物
中国は広く四川省はそのたった一部に過ぎませんが、このひとつの省でも「自然・動物・食」と見どころが沢山あります。またその省によって人も違えば魅力も違います。中国旅行は目的を定めて「深く狭く」回る様にすると、行く度毎に様々な中国を知れることになるのかもしれません。四川省では四川省にどっぷり触れる旅を楽しんでみてください。




