
荒々しい山とキレイな浜辺
日本から日付変更線を超えて約11時間のところにある南太平洋の宝石、タヒチ。透き通る海と青い空、そして白い砂浜が広がる、まるで楽園のようなリゾート地として知られていますが、実は海ばかりではないんです。今回、私が訪れたのは、首都パペーテから国内線で約4時間。イースター島にもほど近い、「マルケサス諸島」という島々です。この地はフランス人画家ポール・ゴーギャンが晩年を過ごし、愛した場所としても有名ですが、実はまだまだ謎に包まれた部分も多いのです。そんなマルケサス諸島の知られざる魅力を、今回はご紹介します!
マルケサス諸島はどこ?

国内線エア・タヒチのプロペラ機
マルケサス諸島は首都パペーテがあるタヒチ島から北東に1400キロメートル離れたところに位置し、ハワイ諸島の南、イースター島の西にあり、「ポリネシア・トライアングル」の中に含まれています。パペーテの空港からはプロペラ機に乗って、空を飛ぶこと約4時間。火山活動によって形成された島々が見えてきます。

ヒバオア島の美しい渓谷
この諸島は全部で12の主な島からなり、そのうち人が住んでいるのは6島ほど。代表的な島は最大の面積を誇るヌク・ヒヴァ島や、画家ゴーギャンやジャック・ブレルが晩年を過ごしたことで知られるヒバオア島です。島内は切り立った山々や深い谷、手つかずの自然が広がり、フランスの行政下にありながらもマルケサス独自の言語や文化、伝統を色濃く残しています。

マルケサス諸島の魅力とは?

大ハイビスカスと私
ずばりここの魅力とは自然と古代遺跡です。タヒチのイメージからは想像できないような霧に包まれた山々。ジャングルのような森の中には、様々な種類の動植物を見ることができ、中には固有種も存在しています。また、野生の馬やヤギが島内を自由に歩き回り、観光地化があまり進んでいないため、森林や山岳、海岸などが原始的なまま保たれているのも特徴の一つです。

ウペケ遺跡のタオア
マルケサス諸島内には数多くの古代遺跡が存在していますが、その多くは13~18世紀にかけて栄えたマルケサス文化の痕跡になります。代表的な遺跡としてハカなどのダンスが行われた広場「タオア」、宗教儀式を行う神聖な場所「メアエ」などが挙げられます。どれも山の奥深くに位置しており、ジャングルを抜けて遺跡にたどり着くその道のりは、まるで冒険しているような気分を味わえます。
ヒバオア島

ヒバオア島のタオアオ村の海岸
今回の旅で私が滞在したのがこのヒバオア島。島の中心地はアツオナ(Atuona)と呼ばれる村で数百人規模の小さな集落ですが、交通・行政・観光の要所となっています。山の上にある空港からアツオナまでは車で10分ほど。歩道はないので車を手配するのがおすすめです。村内には画家ポール・ゴーギャンの墓やアトリエがあり、高台からは静かな湾が見下ろせます。

マルケサス料理inプアマウ村のレストラン
ヒバオア島にはサンゴ礁が存在しないものの、島の中心には最高峰1,276メートルにもなる山々が連なっています。海岸線は断崖絶壁になっており、複雑に入り組んだ入江には所々集落が形成されています。その中でも島内第2の大きさを誇る村がプアマウという村です。約500人が住んでおり、ヒバオア島の中でも特に歴史の面影が残る地域です。
ゴーギャン博物館

ゴーギャン博物館の入口
先ほどご紹介したヒバオア島の中心地アツオナにはゴーギャンの記念博物館があります。ポール・ゴーギャンとは19世紀に活躍した印象派の画家で、色彩を大胆に使い、写実からかけ離れた表現が特徴。代表作は「タヒチの女たち」、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」など。彼の作品は後にゴッホやピカソにも影響を与えたといわれています。

ゴーギャン博物館でのゴーギャンの作品
館内はあまり広くありませんが、数か所椅子が設置してあり、ゆっくりと見ることができます。敷地内にはゴーギャンが生前に建てた「快楽の家」の復元があり、中では彼の歴史についても知ることができます。また、わかりづらいですが、少し歩くとフランス人歌手ジャック・ブレルの展示コーナーもあるのでぜひ立ち寄ってみてください。
施設名 | ポール・ゴーギャン文化センター(Centre Culturel Paul Gauguin) |
エリア | ヒバオア島 アツオナ |
住所 | Atuona, Hiva Oa, Îles Marquises, Polynésie française |
TEL | 68940927897 |
営業時間 | 月~金:8時~12時 14時~17時 土:8時~12時 |
休館日 | 日曜 |
入場料 | 大人:600XPF 12-18歳:300XPF 12歳未満:無料 |
アクセス | ヒバオア島の空港からアツオナ村まで車で10分。村のスーパーの向い。 |
公式サイト | https://www.commune-hivaoa.pf/etablissements_culturels/304758 |
ヒバオア島のティキと歴史

ウペケ遺跡にある千年以上前に彫られたティキ
ヒバオア島の歴史は古く、西ポリネシアから紀元前2世紀ごろに人々が定住したといわれています。古代遺跡として、島内の西側には「ウペケ遺跡」というダンスや社会的集会、神聖な儀式が行われた場所があります。石を積み重ねてできた壁を淵にいくつかの開けた場所を進んでいくと、千年前に彫ったとされるティキ像「ティウ」を見ることができます。

ティキとたくましいガイドさん
ティキ像は元々権力や神性、魔除けのシンボルとして設置されていましたが、フランス人が島に来てから半分以上のティキ像が壊されてしまい、今はあまり多くありません。その中でも複数のティキが見られる貴重な場所が、先ほどご紹介したプアマウ村にあるプアマウ遺跡。高さ2.6メートルのタヒチで最大級のティキ像を見ることができ、祖先や霊的存在として崇拝されていたと考えられています。

まとめ

マルケサスダンサーの皆様
ジャングルと遺跡、原始的な独自の文化が織りなすマルケサス諸島。神の島々と言われているこの諸島は、まさに冒険好きな人にはぴったりの場所です。私自身も今回の旅を通じて、一回りたくましくなったように感じます。島内では今でも裸足で歩く人が多く、動物たちや自然と共に暮らす人々の姿からは、日本ではなかなか味わうことのできない自然との一体感や、どこか懐かしさを感じさせる独特の感覚を覚えました。

幸せになれるという八枚の花弁ティアレ
タヒチ島から約四時間と日本からはるかに遠い場所にありますが、そこまでの時間をかけるほどの素晴らしい景色が広がっています。支払いとしてカードはスーパーでは使えますが、お土産店などは現金のみの場合が多いので多めに持っておきましょう。それではぜひ、一生に一度のマルケサスの旅へ!Vai ei nui!
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