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青島で飲む青島ビールはまた格別
中国で2番目に長い黄河の河口に位置し、経済発展が著しい山東省。首都・北京と上海のちょうど中間にあり、交通の便も良く、文化・産業の両面で注目される地域です。山東省と聞いて、何を思い浮かべますか?世界100カ国以上で親しまれているビールで有名な「青島」、世界史の授業で一度は名前を聞いたことがある孔子の故郷「曲阜」、そして道教の聖地であり世界遺産にも登録されている「泰山」など、見どころは尽きません。今回は、そんな悠久の歴史と豊かな自然が魅力の山東省の観光ハイライトをご紹介します。
ビールと海を感じる街 青島

ここは中国?小魚山からの見えるドイツ風の街並みと近代的な高層ビル群
ビールで世界的に有名な「青島(チンタオ)」。山東半島の南端に位置し、山々に囲まれ青い海に面した、気候の穏やかな風光明媚な海浜都市です。黄海に広がる美しい海岸線のビーチは、夏になると多くの海水浴客で賑わい、中国屈指の観光リゾート地として高い人気を誇っています。小高い丘にある小魚山からは、赤い屋根が特徴的なドイツ風の街並みと近代的な高層ビル群の対比が一望でき、異国情緒あふれる景色を楽しめます。

オリンピック ヨット会場から見える高層ビル群のライトアップ
2008年の北京オリンピック・パラリンピックでセーリング競技の会場となった海洋文化リゾート。休日には、海を眺めながら散策したり、遊覧船に乗ったり、カフェでのんびり過ごしたりと、思い思いの時間を楽しめます。夜にはライトショーも行われ、市民にも親しまれている人気の観光スポットです。

孔子の足跡を辿る地 三孔

孔子廟
中国古代の偉大な思想家、孔子の故郷である「曲阜(キョクフ)」。街はこじんまりとしており、徒歩やレンタサイクルで気軽に回ることができます。夜になると、ランタンの優しい灯りが街を照らし、初めて訪れてもどこか懐かしさを感じさせてくれます。中国独特の建築様式と荘厳な雰囲気で知られる「孔子廟」、孔子の直系子孫とその家族が住んだ「孔府」、孔子一族専用で世界最大の氏族墓地「孔林」。これらの3ヶ所は「三孔」と呼ばれ、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。実際に訪れてみて世界史で学んだ孔子について理解が深まりました。

曲阜街並み
独自に発展した伝統的な曲阜料理、孔府宴は、お客様のもてなしや結婚式、誕生日などの特別な場で振る舞われます。一品一品に意味が込められているほか、料理の盛り付けや飾り切りで建造物を表現するなど、視覚でも楽しめる料理です。
歴史を感じる絶景 泰山

泰山
山東省中部に位置する泰安市にある「泰山」は、標高1,545メートルの高さを誇ります。道教の聖地「五岳」の中で最も尊い山とされ、秦の始皇帝や漢の武帝をはじめ、2000年以上にわたって歴代の皇帝に敬われてきました。山全体には多くの遺跡が点在しており、1987年にはユネスコの世界複合遺産にも登録されました。

泰山天街
泰山には15以上の登山ルートがあり、麓から山頂の玉皇頂まで約7000段の石段を登る、超スリリングな上級者向けのコースから、私が今回登ったように途中までロープウェイで上がり、その後は舗装された階段を使って標高差約100メートルを登る初心者向けのコースまで、さまざまな選択肢があります。初心者コースでも、泰山の壮大さを充分に肌で感じることができました。食堂やお土産屋が立ち並ぶ「天街」は、その名のとおり天国のような雰囲気です。私が訪れた日はあいにくの曇り空でしたが、かえって幻想的な景色となり、まるで別世界に来たかのような気分を味わえました。
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時を越えた文化の街 臨沂

昼食は山東省名物の薄餅
人口の大半を漢族が占め、その他30以上の少数民族も共に暮らす「臨沂(リンギ)」。山東省で最も人口が多く、面積も最大の都市です。省内では泰山に次ぐ標高を誇る蒙山があり、「七十二の険しい峰、三十六の佳境」と称される美しい自然が広がっています。気候は比較的温暖で四季がはっきりしており、農業や林業も盛んで、産品は国内外へと出荷されています。

銀雀山竹簡漢墓博物館
臨沂地域の歴史は2400年以上にわたります。銀雀山漢墓竹簡博物館では、約2000年前の漢代に使われていた竹簡(竹製の書簡)を中心に展示されています。また、竹簡の修復作業や保存過程を紹介するコーナーもあり、学びながら楽しむことができます。
伝統とグルメの街 淄博

斉文化博物館
陶磁器の都、絹織物の里として知られる「淄博(シハク)」。紀元前300年以上前には、軍事訓練の一環として蹴鞠が盛んに行われていたことから、サッカー発祥の地と呼ばれることもあります。そんなシハクですが、その地名が誕生したのは20世紀前半と比較的新しいのです。19世紀末から工業と炭鉱業で発展した「淄川県」と「博山県」の頭文字を組み合わせて、「淄博」と名付けられました。

昼食は人気の淄博BBQ
コロナ禍において、淄博で隔離生活を送っていた大学生へのねぎらいとして提供されたことから、SNSで話題となり有名になったのが「淄博BBQ」です。豚肉や羊肉を串に刺し、7〜8割ほど焼いた状態で提供され、残りは各テーブルに設置された小さなコンロで焼きながら食べるスタイル。ワイワイ楽しみながら食事ができるため、現在でも若者や観光客の間で人気があります。ナンのようなパンに包んで食べるのが主流で、やみつきになる美味しさでした。

歴史と近代化が交差する街へ

今にも動き出しそうな魚の甘酢あんかけ糖醋魚
今回ご紹介した場所以外にも、山東省にはまだまだ見どころがたくさんあります。また、山東料理は中国八大料理のひとつに数えられ、非常に長い歴史を持ちます。沿岸部に位置するため海鮮を使った料理が多く、素材本来の味を活かした調理法が特徴で、中国宮廷料理の基礎としても知られています。
首都・北京や上海に比べると、日本人観光客はまだ少ない山東省ですが、地理的には日本に近く、青島膠東国際空港へは日本からの直行便も運航しており、約3時間半でアクセスできます。
数日しか休みが取れない方や、急に休暇が取れた方にもおすすめの、気軽に訪れられる旅行先のひとつです。歴史、文化、そして自然の魅力を感じに、ぜひ一度山東省を訪れてみてはいかがでしょうか。

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