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学校訪問(ダカール)にて
アフリカ大陸の最西端に位置するセネガル。首都ダカールのエネルギッシュな空気と、音楽やアートが息づく文化の濃さが同居していて、「アフリカは初めて」という方にも意外と入りやすい国です。
そしてセネガルは、旅先としての知名度のわりに見どころが多いのが魅力。世界遺産も点在していて、旅の組み立てがしやすいんですよね。たとえば、フランス統治時代の面影が残るコロニアルな街並みが美しいサンルイ。歩いているだけで、どこか映画のセットのような気分になります。もうひとつ外せないのがゴレ島。奴隷貿易の歴史を伝える「負の遺産」として知られ、華やかな風景とは裏腹に、静かに心に刺さる場所です。
さらに、写真好きなら絶対に気になるのがピンクレイク(ラック・ローズ)。光の加減や季節で色味が変わる、不思議なピンク色の湖は「世界の絶景」と呼ばれるのも納得の存在感です。
ここからは、旅行作家でチーフトラベルアドバイザーの井原三津子と、トラベルプランナーの橋本の2名で、西アフリカの魅力を二人で紹介していきます。見どころだけでなく旅の空気感や実際の動き方まで、分かりやすくお伝えします。セネガル観光を検討中の方は、ぜひ旅のヒントにしてみてください。
セネガルってどんな国?
神のモスク Mosque of the Divinity
歴史を語るとき、どうしても外せないのが「海」と「島」です。大西洋に浮かぶゴレ島は、見た目は絵になる可愛らしい島なのに、胸の奥がすっと冷えるような記憶を抱えています。ヨーロッパ勢力がこの海の玄関口に目をつけ、島は時代ごとに支配が移り変わり、その過程で奴隷貿易の拠点としての役割も背負いました。観光地として歩ける場所なのに、ただの観光では終わらない。そこがゴレ島の強さでもあります。
近代になると、セネガルはフランスの影響を濃く受けていきます。街の建物の雰囲気、教育や行政の仕組み、そして言葉。独立は1960年ですが、旅をしていると「なるほど、フランス語が公用語なのはこういう背景なんだな」と腑に落ちる場面が多いはずです。

ケルメル市場<ダカール>
言葉の使われ方も、セネガルらしくて面白いところ。公的な場ではフランス語が基本ですが、日常の会話でよく耳に入ってくるのはウォロフ語です。つまり、生活の言葉と公の言葉が自然に同居している国。こちらがフランス語で話しかけても、相手同士はウォロフ語でやり取りしていたりして、そのリズムがまた心地よいのです。
宗教はイスラム教徒が多数派で、街にはモスクも多く見られます。ただ、都市部の空気は一枚岩ではなく、服装や価値観もかなり多様。旅人としては、暑さと日差し対策も兼ねて、薄手の長袖や露出を抑えた服を基本にしておくと、どこへ行っても気まずさが少なく安心です。
そして首都ダカール。ここは西アフリカの玄関口らしく、海風とクラクションと人の熱気が混ざり合う大都市です。港や市場に行けば、セネガルが「海の国」だと一発で分かります。朝に揚がった魚が並び、売り手の声が飛び交い、街が目を覚ます音がする。そういう場所に立つと、セネガルの魅力は観光名所だけじゃなく、日常のエネルギーそのものなんだなと思えてきます。

鮮やかな色使いのアフリカンアート<バンディア国立公園>

テランガ(もてなし)の国セネガル

ダカールのクラフトマーケットにて
セネガルの人々はテランガというもてなしの心、精神を持っていると言われています。とりわけ田舎の村へ行くと、今なおテランガの精神を体験できるそうです。村の人々は旅人に会うと、どこから来たか?困っていることはないか?と必ず訊ねて、今からご飯を食べに来ませんか?と食事に誘い、食べ物や飲み物を提供してくれる人もいるのです。

カラフルなゴレ島の街並み<ダカール>
食べ物を人と分け合うことや物を譲り合うこと、困っている人を助けることは当たり前とされている素晴らしい文化です!!旅人をもてなすことは都市部では少なくなったそうですが、今も西アフリカの中でセネガルだけが持つ文化であり、美しい習慣なのです。
セネガルでは家族や友人の会食では、料理はいつも大皿に盛られます。それを取り分けて皆で分け合って食べるという感覚が当たり前なのだそうです。
セネガルのおすすめツアー



奴隷の家があった世界遺産の小島 ゴレ島

ゴレ島 奴隷の家<ゴレ島>
大西洋に浮かぶ小さな島「ゴレ島」。ダカールの沖合い約3kmに浮かぶ歴史ある島として世界遺産に指定されています。フェリーで約20分に位置し、オランダ海軍がこの島を“GOEDE REEDE”(良い停泊地)と名付け、それがゴレになったとされます。1848年の奴隷貿易が禁止されるまで、新大陸への奴隷積み出し港として発展しました。刑務所や奴隷の館が保存されており博物館になっています。
かつてはいつも200人余りの奴隷が収容されていて、1535年から1848年までの300年に渡り合計2,000万人もの黒人がここに集められ、アメリカやブラジル、キューバやマルティニークへ奴隷として送られました。そのうち600万人はこの収容所か輸送船の中で死んでしまったのです。
ローズピンクなど色鮮やかなスレイブハウスは、外見はきれいでもその中は地獄そのものだったのです。詳しい話を聞くにつけ暗い気分になりますが、アフリカの歴史に欠くことのできない史実として覚えておこうと思いました。

ゴレ島の町並
800mほどの長さを持つゴレ島に今は1,200人ほどの人が暮らしています。こじんまりとした車の走らないコロニアルな街並みは、散歩するだけでもおすすめ。ダカールの喧騒に疲れたらこの小島でのんびりと、ゆっくりと流れる時を楽しむのも良いかもしれません。観光地だけあって、海辺のシーフードの美味しいレストランもあり、小エビのガーリック炒めとか白身魚のブロシェットなどというシンプルながら抜群に美味しい新鮮なシーフードが楽しめるのです。
行きのフェリーで一緒だった地元の女子高生のグループは、おしゃれなファッションと髪型で陽気に笑い合っていました。ゴレ島のスレイブハウスを見学して、自分たちの祖先の不幸な過去の出来事を知ったらどんな気持ちになったのか、少し気になりました。
ダカールの台所 マルシェ・ケルメル

フグやブリ、ロブスターなどの高級食材も並ぶ市場
ダカールの中心部にあるマルシェ・ケルメルは、まさに「街の台所」という呼び名がぴったりの市場です。白いコロニアル建築の中に一歩足を踏み入れると、潮の香りと人いきれが混ざり合い、ダカールの日常が一気に立ち上がってきます。
まず目を奪われるのが魚介類の豊富さ。蠣が山のように積まれ、堂々としたロブスターがごろりと並び、なんとフグまで売られています。日本なら高級食材として扱われるものばかりで、「これが日常の食材なの?」と、思わず値段を聞きたくなるほど。見ているだけで目移りしてしまい、旅人としては完全に足が止まってしまいます。

市場にはおいしそうな屋台も軒を連ねている
市場は食材だけではありません。スパイスや乾物、カラフルな布製品、小さな民芸品など、お土産探しにもぴったり。観光客向けというより、あくまで地元の生活の延長線上にあるのが、この市場の魅力です。
マルシェ・ケルメルを歩いていると、セネガルが「海とともに生きる国」だということを、五感で実感します。ダカールを訪れたら、ぜひ立ち寄ってほしい場所。ここを歩けば、この国の豊かさとたくましさが、きっと心に残るはずです。
| 施設名 | マルシェ・ケルメル Marché Kermel |
| エリア | ダカール市内 プラトー地区 |
| 住所 | Place Kermel, Plateau, Dakar, Senegal |
| TEL | なし |
| 営業時間 | 概ね月曜から土曜 午前8時ごろから午後6時ごろまで |
| 休館日 | 日曜・祝日は多くの店舗が休業または短縮営業 |
| 入場料 | 無料 |
| アクセス | タクシー利用が一般的 |
| 公式サイト | なし |
ダカールの「自由の女神」
アフリカ・ルネサンスの像と私
ダカールの街を車の窓から眺めていると、遠くの丘の上に「ん?あれは何?」と二度見してしまう巨大な像が見えてきます。これがアフリカ・ルネサンスの像(Monument de la Renaissance Africaine)です。高さは約49mで、像そのものの大きさはニューヨークの自由の女神像(約46m)をわずかに上回ります。丘の上に建っている分、実際の迫力は数字以上です。
この像でよく話題になるのが、建設に北朝鮮が深く関わっているという点。実はこの巨大像、設計と建設を手がけたのは北朝鮮の万寿台創作社。世界各地で社会主義的な巨大モニュメントを造ってきた、あの北朝鮮の国営美術制作集団です。確かに言われてみると、力強く誇張された筋肉表現や、どこかプロパガンダ的な構図には「ああ、なるほど」と頷いてしまう独特の雰囲気があります。
遠くからも見える2010年に完成した巨大な彫刻
重さは数千トン規模とされ、完成当時は「アフリカ最大級の像」「世界でも有数の巨大彫像」として注目されました。世界の巨大像ランキングでも常に上位に名前が挙がる存在です。
描かれているのは、未来を指さす男性と、その腕に守られる女性、そして子ども。奴隷貿易や植民地支配という重い歴史を越え、自立したアフリカの未来を示す象徴です。評価は賛否ありますが、目の前に立つと、政治的背景を知っていても、ただただ圧倒されるのも正直なところ。
北朝鮮が造り、セネガルが掲げた「アフリカの再生」。その複雑な背景も含めて、この像はダカールという街の、そして現代アフリカのリアルを静かに物語っているように思えるのです。
馬車で散策したいフランス人の作った町 サンルイ

馬車で市内を観光
セネガルの北西部にあるサンルイの町は、17世紀にフランスが最初に作った植民地でした。フランス人が現地人とのコミュニケーションのためにフランス語の学校を作り、強制的にフランス語を教えた最初の街でもあったといいます。ダカールより250kmの距離にありますが、舗装された道路なので約3時間あまりで到着。セネガル川の中洲にある島にあるので主な仕事が漁業ということもあり、ほとんどの人が漁師や魚市場で働いています。
サンルイの観光はまずは馬車に乗って市内をざっと散策するのがお薦めです。フランス統治時代の古い街並みが残り、民家のベランダにはきれいな花が飾られています。ここがセネガルであることを忘れてしまいそうです。

サンルイの漁港にて<サンルイ>
グランドモスクやモーリタニアとの国境であるノースポイント、活気あふれる漁港に市場。小さな島内でも、車や馬車が多く渋滞までしていて、熱いアフリカを感じる街ともいえます。
馬車に乗っているときはあまり気がつかなかったけれど、古い建物の1階のほとんどがお土産屋さんになっています。原色が眩しい絵画や装飾品などが並べられ、ウインドウショッピングだけでもアフリカンアートを堪能できて楽しいひとときです。
できればサンルイに1泊して、ゆっくり町歩きを楽しんでみたいものです。思わぬ買い物ができるかもしれません。
幻想的なピンクレイクでは砂漠サファリも楽しい

ピンクレイクへはこのトラックで行く
ピンクレイクはいわゆるピンク色に染まる湖のことで、フランス語でラックローズ(バラの湖)と呼ばれています。実際の名前はレトバ湖です。ダカールから車で1時間20分ほどに位置しています。
湖面が下がる乾季の日中が最も美しいピンク色に見えると言われています。なぜピンク色に見えるのでしょうか?それはプランクトンの存在によるものですが、塩の濃度、水のプリズム、太陽の輝き、風の強弱、時刻などで左右されるのです。
生物は湖面にいるフラミンゴくらいしか生息できません。湖に住む微生物や鉱物の影響により、この潟湖は海水よりも10倍ほど塩分濃度が高く、最大40%となるため塩の産地でもあるのです。 湖の深さはわずか3mしかないとのことです。
ちなみに私が訪れた3月下旬の午前は、条件を満たさず、あいにく湖はピンク色ではなく、泥色にオレンジを混ぜたような、決して美しいとは言えない色でした。

ピンクレイクでは塩が生産されている
湖畔では塩を採取する人々の姿が見られました。小型ボートで塩を引き上げ、湖畔で50㎏の袋詰めをされてトラックでダカールへ送り、精製されてマリやブルキナファソ、ヨーロッパへも輸出されるとか。ガイドさんによると、ミネラルを含み良質な塩だという話でした。
ピンク色の湖は見えなかったけれど、大きなオープントラックの4WDで砂漠サファリに出かけました。最初は湖にいるフラミンゴを探し、その後は砂漠へと入っていきます。砂漠の中を4WDで縦横無尽に走り回るのは最高の気分。予想外のダイナミックな砂漠サファリに満足満足。
セネガルへの行き方

ダカールのクラフトマーケットで見つけた 理髪店の看板
日本からセネガルの首都であり玄関口のダカールへは乗継便を利用します。ターキッシュエアラインズでは羽田からイスタンブールまで所要12時間30分、そこから7時間35分ですが、乗り継ぎ時間を合わせて約30時間弱かかります。曜日限定ですがエチオピア航空も就航しており、成田からアジスアベバまで所要16時間40分。そこから10時間となり、やはり乗り継ぎ時間を合わせて30時間が必要です。アフリカ最西端の国だけあって、やはり時間がかかりますね。
モロッコなどアフリカの他の国と一緒に旅行するときは、カサブランカからモロッコ航空などでダカールへフライトすることになります。

セネガルのローカルフード
セネガルへは現在日本国籍の人はビザは不要となっています。ただし黄熱病の予防接種の証明書イエローカードを持参することが推奨されています。マラリアの予防薬も念のため日本で購入していくのがお勧めです。
セネガルのツアー

ホテル ノボテルダカール
セネガル1か国だけを訪れるツアーもありますが、大体周辺国や他の西アフリカの国々を一緒に周遊するツアーが一般的です。例えばガーナやギニア、ガンビア、エチオピア、モロッコ、コートジボワールなどの国々と一緒に2か国か3か国ほど周遊するプランです。
一度にたくさん周遊すると、よほど長期旅行でない限り、セネガルでの滞在時間が短く、十分観光できないことになりますね。また自分が本当に行ってみたい国とプランにピッタリ合うツアーが果たして見つかるのでしょうか?

セネガルのフラグビール
セネガルはまだまだ日本人にとっては辺境の国で、ツアーの数も限られています。団体旅行だと決まったプランでアレンジすることはできませんね。自分の希望にあったプランを探すなら、個人旅行がお薦めです。個人ベースのツアーを展開しているアフリカに強い旅行会社で、セネガルを含むコースをたくさんプラニングしているところがいいでしょう。実際にセネガルへも訪れたスタッフがいて、現地情報にも詳しく、組まれているツアーをベースにして、より希望に即したプランにアレンジしてくれるところがベストと言えます。

まとめ
ゴレ島のお店の店員さんと
セネガルはアフリカ最西端にあり、ダカールの喧騒と文化の香りが旅心をくすぐる国です。沖合のゴレ島では、奴隷貿易の記憶が残る「負の遺産」と向き合い、サンルイではフランス統治時代の街並みを馬車でゆっくり辿る時間が待っています。
ピンクレイク(レトバ湖)は条件がそろえば幻想的な色に染まり、砂漠サファリの爽快感も格別。ダカール郊外の丘には、北朝鮮が関わったアフリカ・ルネサンス像がそびえ、自由の女神像と比べたくなる迫力で「今のアフリカ」を象徴しています。テランガ(もてなし)の心に触れながら、歴史と活気と風をまるごと味わう旅先です。
いかがでしたでしょうか?今度の休暇の旅先として、辺境好きのあなたにぴったりのセネガルも候補のひとつに入れてみては?
セネガルのおすすめツアー






