目次
- 1 世界205の国と地域への渡航経験のあるスタッフ井原三津子がルーマニアをご紹介
- 2 革命の舞台にもなった首都ブカレスト
- 3 ブカレストで圧巻の存在感を見せる国民の館と春の宮殿
- 4 首都にいながら田舎の風景を満喫できる国立農村博物館
- 5 時が止まった世界遺産の町シギショアラ
- 6 まるで難攻不落の城塞!ビエルタンの要塞教会
- 7 星型要塞の秘境アルバ・ユリアで過ごす優雅な休日
- 8 ドラキュラ城への旅路の起点ブラショフ
- 9 「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなったブラン城
- 10 シナイアの僧院と壮麗なペレシュ城
- 11 クルージュ・ナポカの聖ミハイ教会
- 12 マラムレシュの木造教会群
- 13 スチャバに残る世界遺産、神秘的な五つの修道院
- 14 シク村の日曜日、教会へ向かう人々に出会う
- 15 英国のチャールズ国王も愛するビスクリ村は村全体が世界遺産
- 16 サプンツァの陽気な墓は見ていて幸せになれる?!
- 17 まとめ
世界205の国と地域への渡航経験のあるスタッフ井原三津子がルーマニアをご紹介

サプンツァの陽気な墓<サプンツァ>
曇天でもその雰囲気がむしろ似合う国があります。それはドラキュラ伝説が残るルーマニア。『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとなった人物が中世、この国に実在したという伝説は知られています。暗雲が魅力を増幅するという稀有な現象とは裏腹に、ラテン系のルーマニア人は明朗な性格!歌や踊りが好きで、酒場でダンスは日常茶飯事!独特な建築様式の木造教会や中世のまま時が止まったような町、森に映える民族衣装等、様々なベクトルから旅人の心を射抜くルーマニアへ世界205の国と地域を旅した井原三津子がルーマニアに再訪。新たな見どころも発見し、皆さんにご紹介します。

革命の舞台にもなった首都ブカレスト

世界で2番目の大きさを誇る議事堂宮殿(国民の館)
第二次世界大戦前まで、「バルカンの小パリ」と称されたほど美しい町並みを誇ったブカレスト。しかし大戦の影響で町は崩れ、社会主義政権のもと、整然とした町が再建されました。現在のルーマニア樹立に繋がる1989年のルーマニア革命の舞台としても有名な場所です。

独特のブルンコヴェネスク様式を用いたスタヴロポレオス修道院
町は新しくなりましたが、古い建造物も残っています。18世紀建造のクレツレスク教会やスタヴロポレオス修道院は、ルーマニア独特の建築様式が見られる貴重な場所です。また、ブカレストから北にあるスナゴヴ(スナゴブ)村の修道院は、吸血鬼ドラキュラのモデルであるヴラド・ツェペシュの墓があるとされています。16世紀に再建された、湖に浮かぶ修道院内部のイコノスタスは見ごたえ抜群です。
ブカレストで圧巻の存在感を見せる国民の館と春の宮殿

春の宮殿の内部は写真撮影禁止
故チャウシェスク大統領が巨額を投じて造らせた議事堂宮殿「国民の館」は、ブカレストへ行くなら絶対に見逃せない大迫力の宮殿です。全部で3107室もの部屋があって、純金の装飾や煌びやかなシャンデリアなど、私欲を満たすために造られたものが国民の館とは皮肉なネーミングなのです。国民の館がオフィシャルな宮殿であるのに対し、春の宮殿はプライベートな自宅として建てられた宮殿です。大理石や金、ベネチアングラスのシャンデリアやペルシャ絨毯など贅の限りを尽くしたインテリアを内部見学ツアーで見ることができます。貧困にあえぐ国民の怒りを買い、その独裁政治は1989年クリスマスに幕を閉じたのです。
首都にいながら田舎の風景を満喫できる国立農村博物館

農村博物館の木造教会
ブカレストで手軽にルーマニアの農村風景を体感できる場所が、国立農村博物館。国内各地の農村から教会や水車、民家などが297棟集められた屋外博物館です。短期間でルーマニアに行きたいけれど独特の田舎風景も見たいという方にぴったり。内部が公開されている家屋の中には、伝統的な手織物や装束などが展示されており、のどかな田舎の生活が想像できます。

素朴で美しい佇まいの木造教会は細部まで見学したい
各地方から18~19世紀の建造物を集めているため、少しずつ建築様式が異なる点が興味深いです。つい足を止めてじっくり見てしまうのは、渋く壮麗な木造教会。有名なマラムレシュから移設されたものもあります。ぬくもりのある木の教会は、内部のほぼ朽ちた木材の壁に宗教画が描かれているという趣深さが魅力です。敷地内にある宿舎を改装したレストランでは、ゆったり食事も楽しめます。
| エリア | ルーマニア南部 |
| 住所 | Kiseleff Street 28-30, 1st District, 011347, Bucharest, Romania |
| 電話番号 | +40 21 317 9103 |
| 営業時間 | 9:00~19:00(冬季は17:00まで)チケット販売は閉館30分前まで。 |
| 入場料 | 大人/20LEI 学生/5LEI |
| アクセス | ブカレスト旧市街からバスで約25分 |
| URL | https://muzeul-satului.ro/en/ |
| MEMO | 曜日によって開いている入り口が異なるので要確認のこと。 |
時が止まった世界遺産の町シギショアラ

シギショアラの歴史地区にて

シギショアラの町並み
ルーマニア中部、三方を山脈に囲まれたトランシルヴァニア地方は「森の彼方の国」という意味を持ちます。その中心にあるシギショアラは必見の場所。中世の世界がそのまま現代に蘇ったような、良い意味での異質さや時の流れの違和感が旅人を惹きつけます。12世紀にザクセン人が入植し、15~16世紀には商工業が盛んな城塞都市として繁栄しました。

シギショアラのレストランの「ドラキュラメニュ」で出た、赤パプリカの肉詰めトマトソースかけ
町のシンボルである時計塔からは、ノスタルジックな町並みを一望することができ、からくり仕掛けの時計は毎正時、14世紀に作られてから今もなお、人形とともに時を刻み続けています。
また、この町には必ず食事に訪れたい黄色い外壁のレストランがあります。そこはヴラド・ツェペシュの父親であるヴラド・ドラクルの家。つまり、ドラキュラ伯爵のモデルとなった人物の生家!雰囲気抜群の店内で、ドラキュラに因んだメニューを堪能することができます。本日のランチのメインは?ドロッと赤いソースのかかった・・・!!?
| エリア | ルーマニア中部 |
| 店名 | カサ・ヴラド・ドラクル |
| 住所 | Strada Cositorarilor 5, Sighișoara, Romania |
| アクセス | ブラショフからシギショアラまで車で約2時間、鉄道で約3時間。シギショアラ駅からお店までは車で約10分 |
| URL | http://casavladdracul.ro/en/ |
| MEMO | 店内120席、テラス70席 |
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まるで難攻不落の城塞!ビエルタンの要塞教会

頑丈な防壁に囲まれた堅牢な構造の要塞教会がどっしりと佇む
南トランシルヴァニア地方には、13世紀から移住が盛んになったドイツ系やハンガリー系の人々の文化や建築様式を残す村が点在します。村の中央には、周囲を防壁で囲まれ、聖堂で見張りが可能な要塞教会が建っています。この教会群は世界遺産に登録されており、中でもシギショアラの南西に位置するビエルタンの要塞教会は、最も強固に造られた教会となっています。

簡素な聖堂内の祭壇は一瞬で目を奪われる秀麗なイコン画が特徴的

のどかな村の風景
三重の重厚な壁に囲まれた教会に入り、美しい木製階段を進んだ先にある聖堂内は、シンプルな造りの反面、祭壇に置かれた煌びやかなイコン画とキリスト像が際立つ、神秘的な空間となります。この教会で特に興味をそそられたものが、礼拝室のドアに取り付けられた中世の巨大な鍵です。複雑な形をした鍵ですが、現在でも正しく開閉が出来るというので驚き。当時の技術の高度さに感動します。
| エリア | ルーマニア中部 |
| 住所 | Biertan 557045 |
| 開館時間 | 10:00~17:00 |
| アクセス | シギショアラから車で約30分、ブラショフから車で約2時間半 |
| MEMO | 公共交通機関がないので、日本からツアーに申し込むか、 ブラショフかシギショアラの現地でタクシーチャーター or ツアーを申込むのが最適。 |
星型要塞の秘境アルバ・ユリアで過ごす優雅な休日

パステルカラーのルーマニア正教会と隣でたなびく国旗
上空から見ると綺麗な星型が花のように広がる壁に囲まれた要塞教会都市アルバ・ユリア。16世紀にはオスマン帝国の主権下で半独立公国として存在したトランシルヴァニア公国の首都でもあった歴史的な場所です。また、第一次世界大戦休戦後にこの地のルーマニアへの合併宣言をした集会が開かれた場所でもあります。

星型要塞の中にある花壇も星型に整える徹底ぶり☆
要塞内には、威厳ある佇まいが印象的な12世紀頃のローマ・カトリック教会と、近年建てられた爽やかな雰囲気のルーマニア正教会が併存します。広々とした要塞内は建造物や自然がきちりと整備された美しい都市となっています。また、敷地内に宮殿を改築したホテルがあり、上品でクラシカルな家具が揃えられた客室では優雅な気分に浸れます。観光客も多くはないため、現在は地方の小都市としてゆるりとした時間が流れる、癒しの秘境です。

いざ!ルーマニアの旅へ出かけよう!
| エリア | ルーマニア中部 |
| アクセス | シギショアラから電車を乗り継いで約2時間半 |
ドラキュラ城への旅路の起点ブラショフ

重厚な石造りが圧倒的な存在感を放つ黒の教会
『吸血鬼ドラキュラ』に登場する城のモデルとなったブラン城への起点として有名なブラショフは、賑やかな広場と大通りが魅力的な古都です。町の中心には中世に建立された石造りの荘厳な黒の教会がそびえ建ちます。17世紀の戦乱で外壁が黒焦げになったことが名称の由来。内部にあるルーマニア最大級のパイプオルガンは必見です。
ブラショフの町の中心は歴史博物館の時計塔がそびえるスファトゥルイ広場です。カフェやレストラン、ブティックが立ち並ぶレプブリチ通りが広場からまっすぐに伸びる歩行者天国となっています。ドラキュラの暗いイメージだけでなく、ブラショフはモダンでセンスのいい町なのです。
歴史博物館<ブラショフ>

憂いのある天気の方が雰囲気が増すドラキュラ城
「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなったブラン城

ブラン城の室内
いわゆるドラキュラ城として親しまれるブラン城は、ブラショフの南西約30㎞の場所にあるブラン村の山上に静かに佇みます。ブラショフからバスで45分ほど。14世紀に築かれたこの城は、ドラキュラ伯爵のモデルであるヴラド・ツェペシュの祖父が居城としていた場所で、現在内部は博物館として開放され、多くの部屋が見学可能となっています。雨天の方が魅力を増す、神妙な雰囲気が漂っています。見えるはずのない「何か」を、見てしまうかもしれませんね。
最近ブラン城を久しぶりに訪れると、観光客が押し寄せて賑やかで明るいイメージの観光地になっていました。とんがり屋根の円柱形の塔を持つ城は絵になります。渡り廊下から眺めるととっても素敵です。場内を見学すると、実際にこの城に住んでいた夫婦の奥さんは美しい人で、ちょっとドラキュラの世界とは異なるイメージ。本当に吸血鬼が住んでいたのか?観光客がいなくなる時間帯、薄暗い時間帯に訪れたら、きっと印象は変わって、背筋がぞくっとするはずです!
| エリア | ルーマニア中部 |
| 住所 | Str. General Traian Mosoiu, nr. 24 507025 Bran Romania |
| 電話番号 | +4 0268 237-700 |
| 営業時間 | 9:00~16:00(月曜のみ12:00から)/年中無休 |
| 入場料 | 大人/45Lei(9€) 学生/25Lei(5€) 子ども/10Lei(2€) |
| アクセス | ブラショフから車で約35分 ブラショフのバスターミナル(Autogara2)からバスで約45分(7Lei/€1.5 平日30分・休日1時間間隔) |
| URL | http://www.bran-castle.com/ |
| MEMO | 現在入城にはワクチン接種証明書(英語)の提示が必要。 |
シナイアの僧院と壮麗なペレシュ城

細部まで鮮やかなシナイア僧院のフレスコ画にはつい足を止めてしまう
カルパチア山脈のブチェジ山中腹に位置するシナイアは、トレッキングの起点としても知られる町です。17世紀にシナイア僧院が建立され、18世紀には王侯貴族の別荘地として繁栄を遂げました。その名残で町には小規模な宮殿風の館が点在しており、宿泊施設としても利用されています。町名の由来にもなったシナイア僧院は敷地内に、大教会と古い教会、計2つの教会を有しており、特に古い教会の入り口を彩るフレスコ画は必見。

森の中に突如現る見目麗しいメルヘンチックなペレシュ城
ルーマニアで最も壮麗な城と称賛されるペレシュ城は、森に魔法をかけて現れたような、神秘性と近付き難い華やかさを兼ね備えた見目麗しい宮殿です。1875年にカロル1世が王室の夏の離宮として建てました。ドイツ・ルネサンス様式のため、木組みの外壁などからドイツの香りを感じられるメルヘンチックな雰囲気も魅力的です。各部屋には美術品や宝飾品など、貴重な品物が展示されています。
| エリア | ルーマニア中部 |
| 住所 | 2 Aleea Pelesului Sinaia 16100 Prahova County România |
| 電話番号 | +40 244 310 918 |
| 営業時間 | 9:15~17:00(水曜のみ10:00から)/月・火曜休み |
| 入場料 | 大人/40Lei 学生/10Lei 子ども/10Lei(ベーシックツアー) |
| 撮影料 | 35Lei/1デバイス(静止画・個人的利用) 60Lei/1デバイス(動画・個人的利用) |
| アクセス | ブラショフから車で約1時間半 |
| URL | https://en.peles.ro/ |
| MEMO | 現在入城には、検査後72時間以内のPCR陰性証明書、検査後48時間以内の抗原検査陰性証明書、 感染後15日以上180日以内の回復証明書の提示が必要。 |
クルージュ・ナポカの聖ミハイ教会

巨大な聖ミハイ教会の前にはハンガリー王マーチャーシュ1世の像が建つ
紀元前2世紀からローマ帝国の植民都市として存在していた町は、その後東西交通の要所として栄え商工業も発展し、現在のクルージュ・ナポカ(クルージ・ナポカ)が樹立されました。町の中心にある統一広場で最も目立つゴシック様式の聖ミハイ教会は、15世紀に完成したもの。ハンガリーとの関係も深い町です。

ハンガリーの建築家が設計した鉄道の駅舎も落ち着く雰囲気
聖ミハイ教会は現在カトリック教会ですが、一時はプロテスタントの一派であるユニテリアン教徒の教会となった歴史を持ち、少々複雑な内部装飾が特徴的。通常プロテスタントの教会内部はシンプルな造りで、カトリックはステンドグラスや豪華な祭壇といったイメージですが、この教会は両方併存している印象。修復毎に古い壁画が発見されるというのも、プロテスタント時代に改装をした証拠。歴史と建築の深い繋がりを体感出来る貴重な場所です。
| エリア | ルーマニア北西部 |
| 住所 | Piața Unirii Cluj-Napoca 400015 Románia |
| 電話番号 | +40 264 592 089 |
| 開館時間 | 日曜 7:30~12:00 |
| アクセス | アルバ・ユリアから電車を乗り継いで約3時間半。シギショアラから電車とバスを乗り継いで約4時間。 クルージュ・ナポカ空港からバスで約30分。 |
| URL | https://szent-mihaly-templom.business.site/?utm_source=gmb&utm_medium=referral |
| MEMO | ミサ中は観光客の入場禁止 |
マラムレシュの木造教会群

ブルサナ木造教会は世界遺産なのに、小ぢんまりして人の姿も見えない

マラムレシュ最大級の木造建築群を有するブルサナ修道院は野草や花も美しい
ぬくもり溢れる木造建築に心を奪われる人も多いのではないでしょうか。温かみのある雰囲気や素朴な木の香りに呼吸も落ち着き、リラックス効果は絶大。そんな田舎の情景を実見できる、ルーマニアの奥地マラムレシュ地方。この地方の小さな村では、今でも伝統的な民族衣装を纏って、牧畜等を営みつつ昔ながらの暮らしを続けています。
ブルサナ木造教会は世界遺産なのに観光客は他にドイツ人男性1人しか来ていなくて、小さく地味な印象です。カトリック教会なので目立たないように建てられて3度も移転したそうです。鍵を持って管理の女性が走って来て、内部見学を説明付きでやってくれました。木造教会のあとはブルサナ修道院へ。こちらは正教会の教会で、周りに教会の人々の宿舎や色々な施設もあって花々が咲き乱れる美しい庭がありとっても華やか。
この地方の木造教会の多くは世界遺産にも登録されたもので、例えばイエウド村の教会は1354年創建という、現存するルーマニアの教会でも最古クラスのものです。キリル文字で書かれた最古のルーマニア語が見つかった場所でもあり、重要な遺産です。各教会内部には素朴な壁画が施され、木の優しさが滲む祭壇が好印象。石造りの教会も素敵ですが、緑に映えて趣のある木造教会で感性を研ぎ澄ませてみるのもおすすめです。

柔らかで深い色合いの木材が屋根まで届く癒しの教会が静かに佇むイエウド村
イエウドのペンションで民族衣装体験ができました。衣裳部屋には壁にぎっしり刺繍のプラウスやカラフルなスカート、スカーフが飾られています。好みの色柄を選んで宿のスタッフの方に着付けしてもらいます。とりわけ面白いのが靴下と靴。白い厚手のハイソックスを履いて黒いペタッとした靴を長い黒革のひもで巻き付けていきます。着付けが終わったらペンションの花咲く中庭で記念撮影もok。そのままランチタイムで食事することもできます。

イエウドのペンションにて<イエウド>

イエウドのペンションにて<イエウド>
| エリア | ルーマニア北部 |
| 住所 | DJ186 276, Bârsana 437035 România |
| 電話番号 | +40 362 40 55 52 |
| アクセス | シゲト・マルマツィエイから車で約30分。 |
| URL | https://romaniatourism.com/world-heritage-sites.html#maramures |
| MEMO | 木造教会群の巡り方は路線バスの便数も少なく、村の中心とも距離があるため、タクシーなど手配が最適解。 |
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スチャバに残る世界遺産、神秘的な五つの修道院

赤みがかった色合いのフレスコ画が記憶に強く残るモルドヴィツァ修道院
外観も内装も麗しい修道院が残る、ルーマニアの北部モルドヴァ、ブコヴィナ地方。15世紀に猛威を振るうオスマン帝国を撃退したシュテファン大公は各地に教会を建立し、ルーマニア正教と民衆の庇護に尽力しました。スチャバ(スチャヴァ)付近のブコヴィナ地方には、思わず見惚れるフレスコ画に包まれた修道院が静かに佇んでいます。

群青色が美しいヴォロネツ修道院の西面を埋め尽くす『最後の審判』
世界遺産に登録された修道院は八つですが、中でも主要な場所は「五つの修道院」として知られます。最大の特徴は、内外びっしりと描かれた色彩豊かなフレスコ画。外壁にまで施されることは極めて稀です。聖書の一幕や聖人の肖像にカレンダー等、多岐にわたる繊細なフレスコ画。周囲の豊かな自然との絶妙な調和を生み出すこれらの修道院は、ルーマニアの旅のハイライトに相応しい貫禄で旅人の心を射抜き続けているのです。
| エリア | ルーマニア北部 |
| 住所 | DN17A 169, Sucevița 727510 România |
| 電話番号 | +40 230 417 110 |
| アクセス | スチャバから車で約1時間。 |
| URL | https://romaniatourism.com/world-heritage-sites.html#maramures |
| MEMO | 五つの修道院を巡るには公共交通機関がないところもある為、ツアー参加やタクシーチャーターを検討した方がよい。 |
シク村の日曜日、教会へ向かう人々に出会う

日曜日、教会へ向かうシク村のご夫婦
日曜の朝11時、教会の鐘が鳴り響きます。すると村の人々が正装して教会に集まってきました。ここはプロテスタントの教会で、ハンガリー人が多く暮らしている地区なのです。老婦人は白いブラウスと黒いスカートかベスト、スカーフを巻いてシックな装い。男性は白いシャツにベスト。つばの狭い独特のストローハットを被っています。若い女性は美しいワンピース姿やスーツ姿の男性も。洗礼を迎える子供を連れた若夫婦もいます。かつてはアコーデオンのようなひだが付いた大きく膨らむ袖のあるシャツを着ていたのが伝統らしいけれど、今ではその衣装を見かけることはほとんどなくなったようです。
教会の中を覗いていたら、おじさんが中へお入り、ミサに参加してください、と誘ってくれました。地元民のふりをして、なんだか嬉しい時間でした。

優しいクララさんのお宅訪問
シク村でご主人と二人で暮らすハンガリー人のクララおばあさん。お宅訪問してランチをご馳走になりました。自分で刺繍したたくさんの布や自分で絵を描いたきれいなお皿に囲まれてニコニコ幸せそうなクララさん。
随分前に「ウルルン滞在記」で女優の羽田美智子さんがお宅に滞在したらしく、いろんなエピソードを話してくれました。私がミツコと名前を言った途端、ミチコ!!と抱き着いてきたので驚いたところ、ミチコさんを思い出したらしいです。
振舞ってくださった料理は、骨付きチキンのミニパスタ入りコンソメスープ、ビーフシチューとマッシュポテト。庭で育てた野菜サラダも。塩味もちょうど良くて優しい美味しさの料理ばかりで、クララさんの優しさが表れている気がしました。デザートはサワーチェリーのケーキ。別腹でいくらでも食べられそう。

骨付きチキンとパスタの入ったコンソメスープはほっこりする美味しさ
英国のチャールズ国王も愛するビスクリ村は村全体が世界遺産
ルーマニアの理想的な田舎の風景を見たければ行ってみたいのがビスクリ村。シギショアラから車で約1時間ほどにあります。村全体が世界遺産とあってとことん保存されているため、車は入れず道路も昔の石畳のまま。田舎風の素朴な家並みが続き、自然がそのまま残っているため、屋根の上にはコウノトリが巣を作っていることもあったりして、ここだけは時が止まっているかのよう。
村はずれは草原が広がり色とりどりの花が咲き乱れ、本当に楽園と呼べる風景が味わえます。この村を愛するあまり、イギリスのチャールズ国王は村に別荘を買ってお忍びで訪れているそうです。

ビスクリ村の家並みは素朴ながら愛らしい

ビスクリ要塞教会は見る価値あり
素朴でのんびりした村の中で、観光名所として必見なのが要塞教会です、ザクセン人が築いた代表的な要塞教会のひとつとして知られていますが、観光地とは無縁の静かな場所で、とても神聖な気分に浸ることができます。塔の上に登ると美しい風景が一望のもとにできるのです。

ペンションの入口も蔦が絡まってムード満点
ペンションビスクリ125は昔ながらの蔦の絡まる外観ですが、内装はモダンにリノベーションされ快適な設備です。ここの良さは食事の美味しさにもありました。食材がどれも新鮮で、トマトやパプリカなど野菜の美味しさにはびっくり。ハム、ベーコン、チーズなど何を取っても一つ一つが美味しいのには嬉しくなりました。
サプンツァの陽気な墓は見ていて幸せになれる?!

故人の人生ストーリーとイラストが描かれているお墓
ルーマニア最北端、マラムレシュ地方。ウクライナとの国境のすぐ手前に位置するサプンツァは、陽気な墓の存在で知られています。色鮮やかなブルーのお墓は見ていて幸せな気分になれるほど陽気なのに、実は本物のお墓なのです。
大小さまざまでも基本の形は統一され、ブルーの木の地に彫って作られ、故人の生前の職業やエピソードをイラストと文章で表現しています。
1935年からこの墓を作り始めた元祖スタン・イオン・パトラシュ氏は自分の友人が亡くなった時に普通じゃなくユニークなお墓を作ってあげたくて、それが始まりだったとか。今では3代目の男性が一人、お墓を掘り続けています。

スタン・イオン・パトラシュ記念館(サプンツァ)<サプンツァ>
イッテQ!でイモトも自分のお墓を作ってもらったとかで、保存されていました。

まとめ
ルーマニアといえばドラキュラ、国民の館くらいしか思い浮かばない?なんてもったいないッ。トランシルヴァニア地方にはドラキュラ城のモデルとなったブラン城はもちろん、シギショアラはまるで中世で時が止まっているかのような場所。
マラムレシュ地方には伝統的な生活を営むかわいらしい小さな村が点在し、木造教会群の技術や芸術性には目を見張るものがあります。そんな中世の面影の残るこのルーマニアに魅せられてしまう事は間違いありません。
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